インタビュー:ストリッパー演じるムン・グニョン(上)


 ドラマ『シンデレラのお姉さん』をヒットさせたムン・グニョンが次に選んだ作品は、意外にも演劇だった。さらに驚くべきことは、ムン・グニョンが演じる役が、同名の映画『クローサー』でナタリー・ポートマンが演じたアリス役ということ。アリスはストリップダンサー。黙っていても男が寄って来るほどセクシーで、挑発的な女性。優しい目をしたムン・グニョンとは全くイメージの違うキャラクターだ。

 しかし舞台に立つムン・グニョンを見て驚いた。これまで見たことのない挑発的な姿に驚き、そして、思ったよりもその挑発的な姿がよく似合うことにも驚いた。

「舞台では一人の人間としてのムン・グニョンを見せたい」

 さまざまな思いがムン・グニョンをこの舞台へと引き寄せた。

 「長い間、いつか演劇の舞台に立ってみたいと思っていました。わたしは作品を選ぶときが楽しく、選ぶ過程で、この作品を一生懸命演じることができるだろうかと考えます。そういう点で『クローサー』は面白い作品だったため、出演を決めました。また、『シンデレラのお姉さん』を撮影していたとき、キム・ガプス先輩が、演劇は演技力がつくし、生命力を感じることができるだろう、とアドバイスしてくれました。そのアドバイスを聞き、勇気を出すことができました」

 ムン・グニョンは長い間、自分自身も知っている「ムン・グニョン」というイメージを一掃したかったのかもしれない。

 「時々、わたしは“ムン・グニョン”なのか、“人々が求めるムン・グニョン”として生きているのか分からなくなって、寂しく悲しい気持ちになりました。しかし舞台では、“一人の人間としてのムン・グニョン”になることができてうれしかったです。隠すことなく自分を見せることができるのがうれしいし、生きているという実感がわきます」

 演劇は完全に新しい分野だった。舞台に立つためには、まず基礎的な発声から始めなければならなかった。

 「これまではマイクが声をキャッチしてくれるため、はっきりと大きな声で話す必要がありませんでした。でも、舞台の上では、それではせりふを伝えることができません。最初の稽古のときから、声を大きく出すことができるよう練習しました。発声練習をしていますが、まだまだ十分とは言えません」

 練習と現実は違っていた。ムン・グニョンにとって、舞台と客席は余りにも広い空間だった。

 「舞台に立つまでは、本当にまったく緊張しませんでしたが、いざ舞台に上がると、ものすごく緊張してしまって…。『こんなの何でもない』と自分に繰り返し言い聞かせるのですが、ある瞬間、自分が震えているのを感じたのです。そうすると、何も考えることができなくなってしまって…。その一方で、強い責任感も感じました。最初の舞台の後、本当にいろいろなことを考えました」

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