「もはやラブストーリーでは海外の韓流ファンをつなぎ止められない」「新次元のストーリーや素材を発掘しなければ、韓流ブームは没落してしまうかもしれない」…。この10年間、アジアを席巻した韓流ブームだが、今やピンチを懸念する声が増えている。タイトルや登場人物が違うだけで、似たり寄ったりの「確執・障害を乗り越えた恋愛物」一色という韓国ドラマに、海外の韓流ファンが食傷気味になっている様子が見え始めているのだ。こうした傾向は、放送コンテンツ輸出動向を見るとはっきり分かる。ドラマが90%以上を占める韓国放送コンテンツ輸出額は、2001年以降、毎年10%以上増え続けてきた。特に、02年と04年を見ると、前年度比の輸出額が02年52.3%増、04年69.6%増と、成長の勢いが著しかった。
ところが、07年の増加率は10.05%、08年は10.81%で、09年には1.9%と伸びが急速に鈍った。08年の放送コンテンツ輸出額は1億8016万8000ドル(約154億7000万円)だったが、09年の輸出額は1億8358万ドル(約157億6000万円)。韓国文化産業交流財団のキム・ギョンヒ事務局長は「韓国ドラマのパターンに慣れてしまった海外テレビ局からは、フレッシュなストーリーやアプローチを持つ作品を求める声が上がっている。韓流を一段階グレードアップさせるような冒険的な試みが必要」と話す。
これまでの韓流ドラマで大ヒットと言われるのは、『冬のソナタ』と『宮廷女官チャングムの誓い』だ。『冬のソナタ』は韓国的なラブストーリーのパワーと映像美を初めて本格的に海外ファンに紹介したドラマ。『宮廷女官チャングムの誓い』は韓国の食文化や医学といった伝統的な要素をベースに、身分の差を乗り越えていく女性のサクセスストーリーということで、新たな韓流市場を切り開いた。