インタビュー:キム・テヒ「先入観を振り払いたい」(下)


 キム・テヒは「ヤン・ユンホ監督とは『IRIS』で一緒に仕事をしたため、わたしの長所や短所をよく知っており、それがよかったのかもしれない」と話す。カメラが目の前にあるとどうしていいか分からなくなるキム・テヒの性格をよく知っていたというわけだ。

 「『IRIS』のときから少し積極的になりました。以前は分からないことがあって質問しなければならないとき、そうすることができなくて…。少し自信がついたのかもしれません。ヤン・ドングン先輩とも早く親しくまろうと、わたしから声をかけ、たくさん話をしました」

 ヤン・ドングンの話をするときは目が輝いていた。「本当の天才だと思った」と、手放しにほめていた。

 ふと、『IRIS』に出演し、イ・ビョンホンとの熱愛説が持ち上がったことについて聞いてみた。熱愛騒動がうれしかったのではないかと思ったからだ。キム・テヒはそれまで、相手役の俳優とうわさになったことがなかった。それは、鏡を見ながら演技をしていたという意味でもある。


 キム・テヒは思った通り、「どうして知っているの?」とでもいうような表情で、「本当にうれしかったです」と答えた。「わたしが心を開いて演技ができたということだから。とてもうれしいうわさでした」と答えた。

 映画『悪魔を見た』でインタビューしたイ・ビョンホンは、キム・テヒについて、「女優だったらもっと気が強くなければならないのに、純粋過ぎて大変だろうなと思った」と話していた。キム・テヒは『IRIS』で、少しの自信と実践する勇気を得たのだろう。

 独立したのも理由の一つだった。キム・テヒは「どんな風に思われるか分かりませんが、安定した規模の大きい事務所に所属していたため、気楽になり過ぎていたような気がするんです。勝負を懸けるときが来たとも思うし。自分が主体になって動きたかった。人に言われてやったという言い訳ができない、すべて自らの責任という状況に自分を置いてみたかった。少しは強くなったような気がします。強くならなければならないとも思うし」と語った。


 ファンがキム・テヒに対して持っている先入観は何だと思うか尋ねてみると、すぐに「悩みがないように見える。優等生のように見える。感情的でなく理性的」という答えが返ってきた。

 「見たくない物は見ないようにし、見たい物だけを見ようとしてきました。自分が持っている物より、あまりにも早くたくさんの物を手に入れてしまい…。期待も大きかったし。だから、自分の性格を改造してきたのかもしれません。長所だけを維持しながら」

 いかにも優等生的な回答でもあるが、今のキム・テヒにとって最善の答えでもある。「自分が主体となって一歩ずつ歩んでいきたいと思うし、それが自らを幸せにすることだと思うんです。それがわたしであり、『グランプリ』です」と語る顔は、自信に満ちていた。

チョン・ヒョンファ記者
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