朝鮮戦争60周年:仁川上陸作戦記念館を訪れた人たち

記念館を訪れる観光客、30%以上増加

 「まだ戦争が終わったわけじゃない。ただ、爆弾や銃弾が飛ばないだけ」。孫娘と一緒に訪れた仁川上陸作戦記念館をキム・ジスンさん(75)はそう語る。

 8月25日午後。たくさんの観光客を乗せた仁川シティーツアーバスが、仁川上陸作戦記念館(仁川市延寿区玉蓮洞)前に止まった。バスから降りた観光客たちは、60-70代の高齢者が多いが、小学生や中学生の姿も目につく。



 観光客たちは、記念館に展示された軍服や兵器などを見学しながら、改めて戦争の意味について考えた。

 この記念館は、韓国戦争(朝鮮戦争)で奇跡的に韓国を救った仁川上陸作戦を記念するために建てられたものだ。展示場では、マッカーサー将軍が使ったパイプや、仁川上陸作戦に関する資料、韓国戦争時に使用された兵器類、韓国軍の軍服などが、パネルや映像で詳しく紹介されている。



 片手につえ、もう一方の手にハンカチを握り締めたおじいさんが、じっと写真を見詰めている。韓国戦争に参戦したというパク・チョルホさん(76)は、「当時使った兵器や写真を見ていると、実に感慨深い」と話した。

 パクさんはまた、「最近の若者たちは歴史に関心がなく、韓国戦争がいつ起こったのか、なぜ起こったのかということすら知らないようだ。仁川上陸作戦記念館のような展示館を多くの若者たちが訪れ、正しい韓国の歴史を学んでほしい」と話した。



 夏休みの宿題のため展示館を訪れたというペク・ミンジェ君(小学3年生)は、「仁川上陸作戦が何なのかよく知らなかったけれど、父に話を聞きながら見学したらよく分かった。友達と一緒にまた来たい」と話した。

 関係者によると、仁川地域の歴史学習の場として、記念館を訪れる子どもたちの数が最近急激に増えている。これまでは「護国報勲の月」の6月に観光客が集中していたが、今年は3月だけで6万人以上が訪れるなど、前年同期比30%以上増加したという。



 北朝鮮出身の両親を持つペク・ムソクさん(47)は、「最近の若者の中には、韓国戦争が北朝鮮と米国の戦争だと誤解している人もいる。現在の大韓民国に成長するまでの悲しい歴史について、ありのままを正確に伝えることが大切だと思う」と話した。

 記念館の外には、韓国戦争発生60周年を記念し、参戦勇士たちに贈る感謝の言葉を紙に書いて飾る場所が設けられた。

 チョ・チャンホ管理所長は、「仁川上陸作戦記念館は戦争についてよく知らない戦後の世代にこそ、意味のある場所。自分を犠牲にして祖国を守った護国勇士たちの愛国精神を感じることのできる実証的な教育の場だ」と説明した。



 最後にある野外展示場には、韓国戦争当時、国連軍が使用したさまざまな種類の装甲車や戦闘機、偵察機、タンク、誘導弾、艦砲など、大型の兵器が展示されている。自由守護の塔が建てられた展望台に上ると、仁川の海を一目で見渡すことができ、美しい夕日も鑑賞できる。

 仁川市は月尾島一帯2万4000平方メートルの敷地に、2013年まで、国費と私費280億ウォン(約20億1500万円)を投入し、世界的な記念イベントも開催できるような広場や公園、韓国戦争参戦16カ国と医療支援5カ国への感謝の思いを伝える記念館などを建設する計画だ。



 仁川上陸作戦記念館を訪れ、自分を犠牲にして祖国を守った韓国戦争参戦勇士たちのことを思い浮かべながら見学してみてはいかがだろうか。

 仁川シティーツアー市内観光コースは、自由と民主主義の大切さを教える「仁川上陸作戦記念館」をはじめ、月尾島、沿岸埠頭(ふとう)、松島などを見学することができ、仁川の歴史と文化空間を共に鑑賞できる、意味あるコースだ。

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