インタビュー:ソル・ギョング以外の何者でもない男(下)


 デビュー作『ペパーミントキャンディー』から『公共の敵』『力道山』など、常に存在感のある主役を演じてきた。

 「俳優はただ自分の歩むべき道を歩いていけばいいということ。俳優が一つの作品を演じるということは、それぞれが自分の道を進みながら、共に歩くということ。そこに監督が入って、スタッフが助けてくれて、自分も相手を助けようと努力して…」

 ソル・ギョングは「俳優同士がライバル意識で競い合うというのは昔の話。相手をよく見せるよう努力することが、むしろ自分自身を見せることにつながる」と話す。共演したイ・ジョンジンら共演者たちをどのように輝かせたのか、という質問をしようと思ったところだった。

 イ・ジョンジンは同作で幾つかのアイデアを出し、映画に新しい風を吹き込んだと聞いているが、どうだったかと尋ねてみた。すると、「僕にはアイデアがない。シナリオに書いてある通りに演じるだけ」という答えがすぐさま返ってきた。

 そう言いながらも、イ・ジョンジンのアイデアがキャラクターを生かし、映画を光らせた、とさり気なくほめることも忘れなかった。

 最近の作品ではいつも父親の役を演じているが、ソル・ギョングに父親のにおいはしないと言ってみた。すると、「自分でもそう思う」と言ってニヤッと笑った。ただし、『容赦はない』で経験したせいか、子どもが苦しい状況に置かれるのは耐えられないと話す。

 ソル・ギョングが演じる役は、すべてソル・ギョングらしくなってしまう。天真らんまんでずうずうしく、とぼけたような表情が、ソル・ギョングらしさを生むのだろう。もっと楽に演じていい状況でも、感情が入らないと言って、数十回も撮り直すところ、そんな生真面目さもソル・ギョングらしいところだ。

 靴を履いて写真を撮りたいというと、ソル・ギョングはそのときになって靴下を探し始めた。「皆さん、帰りますよ」と言いながら握手を求めるソル・ギョングは、「奥さん(ソン・ユナ)によろしく伝えてほしい」という言葉には、最後まで聞こえないふりをした。ソル・ギョングはやはりソル・ギョングだった。

チョン・ヒョンファ記者
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