インタビュー:ソル・ギョング以外の何者でもない男(上)


 「さまざまな思いが交差する」

 ソル・ギョングにお祝いの言葉を伝えたとき、返ってきた言葉だ。 映画『解決士』(クォン・ヒョクチェ監督)の公開を9日に控えている上、最近息子が生まれたとあっては、めでたくないはずがない。

 それでもソル・ギョングは手を横に振りながら、もうその話は終わりにしてほしいという仕草をした。何事にも無関心そうな表情は相変わらずだが、時折「俺の気持ち、分かるだろう」と言っているような、いたずらっぽい表情も見せる。いつまでも大人になれないという言葉通り、ソル・ギョングはいつもソル・ギョングらしい…そんな雰囲気がある。

 ソル・ギョングは『解決士』で、一時は有能だった元刑事の「興信所の解決士」という役を演じている。同作の中でソル・ギョングは、ある日濡れ衣を着せられ、娘まで誘拐される。そしてその恨みを晴らすため、犯人に相応の復讐(ふくしゅう)をするという役どころ。実にソル・ギョングらしい。

 ソル・ギョング印の映画はないが、ソル・ギョングが演じたらしっくりくるだろうと思わせる作品はある。『解決士』はまさにそんな作品だ。『公共の敵』のカン・チョルジュンが、『容赦はない』の状況に遭遇し、すべてをぶち壊しながら休みなく走り続ける。

 「『容赦はない』を思い出したことは1度もなかった。乱暴な雰囲気を出したら、カン・チョルジュンのキャラクターとダブってしまうのではないかと心配したが、監督が『ただ愉快・壮快・痛快にいこう』とおっしゃった」。

 ソル・ギョングは、「最初は新人監督という先入観があったが、鋭い目を持っていて、現場の雰囲気をうまくリードしていた。208シーンで3000カット以上撮ったくらい、撮影はかなり大変だった」と話した。

 「感情がうまく出てこず、『僕はただ演技をするから、勝手に撮ってほしい』と言ったら、0.2秒のシーンのために、一日中同じ演技を繰り返したこともあった」

 棒を振り回す腕や、首の後ろにカメラを付けて走ることもあったという。まさに一日中走って、振り回しながら、体当たりで演技をしたということだ。

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