素朴な味わいが魅力、慶南・咸陽の名店(下)

魚の出汁が美味しい素めん、のど越し抜群:魚湯ククス


 店の名前は「チョセン店」。義母のイム・ミョンジャさんから店を受け継いだ嫁のキム・ユンジョムさんが、店名の由来を説明する。「義父(チョ・インヒョクさん)は生員(朝鮮王朝時代、科挙の試験に合格した人)でした。この地域では、生員は自分のことを謙遜して『セン』と呼んでいました。義母が食堂を登録するため官庁に出向いた際、官庁の人に“チョ(義父の苗字)セン”の店だから、チョセン店という名前にしたらどうかと言われたそうです」

 魚湯ククス(ククス=素めん)は咸陽と山清地方の料理だ。川魚を煮た後、骨を取り除き、身をほぐしてめんと交ぜ、粉唐辛子を加える。さらに、干し菜を加えてコトコト煮込むのがポイントだ。

 粉唐辛子入りの赤いスープは意外にも澄んでいる。少し川魚特有の臭みがあるが、それがむしろ魅力といえる。山椒とカワミドリで魚の生臭さを消している。チュオタン(ドジョウ汁)には川魚とドジョウを使う。スープは濃い茶色で、とろみとコクがある。

 魚湯ククス5000ウォン(約350円)、チュオタン6000ウォン(約420円)、川魚の煮込み2万5000ウォン(約1750円)。

チョセン店:慶尚南道咸陽郡咸陽邑雲林里35-5

牛骨のスープに豆の葉、どこか懐かしい味:豆の葉牛骨スープ


 豆の葉は慶尚道地方でよく食べられる食材の一つ。咸陽では豆の葉を牛骨スープにも入れる。「チョンハク山」の主人は、「豆の葉牛骨スープは昔から、スタミナ料理としてよく食べられていた」と話す。

 春に採れる豆の葉を干し、貯蔵しておくと、一年中食べることができる。白濁したスープに豆の葉を入れ、煮た牛肉を細切りにして加えれば完成。豆の葉がたっぷり入っているため、白濁したスープがやや緑色を帯びていて、一見すると、ワカメのスープのようにも見える。スープの中に入ったご飯をスープと一緒に食べるのが美味。ほのかに苦味のある豆の葉が牛骨スープとよく合う。スープと一緒に出されるおかずも、素朴な味だ。豆の葉牛骨スープ8000ウォン、豆の葉牛骨スープ定食1万3000ウォン(約940円)、チョングクチャン(納豆汁に似た韓国料理)6000ウォン、干し菜の味噌煮込みスープ5000ウォン。

チョンハク山:慶尚南道咸陽郡咸陽邑九竜里641

キム・ソンユン記者
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