Rainが7年続いたCM契約を打ち切られたワケ

株式市場で自社株売却が問題に
アパレル企業めぐり訴訟も
SKテレコム「CM契約更新しない」


 歌手Rain(ピ/チョン・ジフン)は2004年から7年間、韓国最大手の携帯電話事業者「SKテレコム」の広告に出演していたが、今月4日を境に広告から姿を消した。同社は7月26日に各販売代理店に対し、「Rainのイメージキャラクター契約は8月3日に終了したため、現在使われているイメージ写真は早急に撤去し、今後も使用しないでほしい」と通達した。また、「代わりのイメージキャラクターが必要ならば、チャン・ドンゴン、シン・ミナのイメージ写真を使ってほしい」としている。同社サイドは「いろいろ理由があり、(契約を)やめることになった」と話す。ある代理店の責任者は、「Rainにまつわる話が最近よく取りざたされていることも、考慮に入れられたと聞いている」と語った。

 自身が筆頭株主だったジェイチューン・エンターテインメントの所有株を全株売却し、個人株主の反発を買い始めたRainの周辺がにわかに騒がしくなっている。

 食品からエンターテインメントまで扱う大手企業グループ「CJグループ」も、「Rainの24時間」をテーマにCMを作ろうと、複数の広告代理店会社から企画書を受け取ったが、CM制作を中止した。CJ関係者は「制作を進めていたのは、外食・エンターテインメント事業を行っているグループのイメージと、Rainのイメージがピッタリだという調査結果が出たからだが、制作を中止したのは、(兵役問題が解決していないRainが)入隊するかどうかが決まっていないため」と説明している。しかし、広告業界関係者は「個人企業をめぐる疑惑が一掃できなければ、CMキャラクターに起用されることはないだろう、というのが(業界内の)定説」と話した。

 個人企業をめぐる疑惑とは、Rainが株の27%を所有しているアパレル企業「ジェイチューン・クリエーティブ」をめぐり、問題が浮上していることを指す。

 今年4月、同社株の14%を所有している大株主のA氏は、RainとRainの父チョン・ギチュン氏、ジェイチューン・クリエーティブ経営陣ら7人を詐欺・横領・背任などで告訴、現在ソウル中央地検調査部で捜査が行われている。A氏は「服を納品したが、代金は支払われていない。会社の資金は『ジェイチューン・キャンプ』などの個人企業に流れたという会計資料がある」と主張している。A氏が入手した会計資料によると、チョン・ギチュン氏とRainが大株主になっているジェイチューン・キャンプは、ジェイチューン・クリエーティブから、Rainが使用する車のレンタル料・車の修理費・会議室使用料・駐車料などを受け取っているという。A氏は「ジェイチューン・キャンプもジェイチューン・クリエーティブもRainが大株主だ。Rainとチョン・ギチュン氏の個人企業であるキャンプが、複数の株主がいるクリエーティブから資金を受け取るのは違法だと考える」と主張している。また、アパレル業界では最近、ジェイチューン・クリエーティブと取り引きした一部の会社を対象に、税務当局が調査をしたといううわさが広がった。

 ジェイチューン・クリエーティブは今年6月末ごろ、自社ブランド「SIX TO FIVE(シックス・トゥー・ファイブ、6to5)」を、バッグブランドのMCMに引き渡したと伝えられている。A氏は「服の在庫と、Rainとジェイチューン・クリエーティブが結んでいた広告出演契約などを売ったと聞いている」と語った。新世界百貨店やロッテ百貨店に入店していた同ブランドのショップは消え、MCMは買い取った服を60-70%引きで販売している。インターネットではTシャツ1枚5000ウォン(約360円)。いわゆる「在庫処分品」扱いだ。

 今年4月にリリースされたアルバム「BACK TO THE BASIC(バック・トゥー・ザ・ベーシック)」のジャケットも遅まきながら話題になっている。アルバム・ジャケットで「VIP THANKS TO」としてCJエンターテインメント李美敬(イ・ミギョン)副会長、CJ李在賢(イ・ジェヒョン)会長、ロッテ・ショッピング辛英子(シン・ヨンジャ)社長、MCMキム・ソンジュ代表ら、そうそうたる大企業や企業グループのトップたちに感謝の意を表しているためだ。

 Rainは現在、海外でKBS第2の新ドラマ『逃亡者』の撮影を行っている。こうした問題について話を聞こうとジェイチューン関係者らに連絡を試みたが、コメントは得られなかった。

鄭晟鎮(チョン・ソンジン)記者
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