インタビュー:ウォンビン「姉と同居、僕は皿洗い名人」


感性とアクションで「二兎を得る」

 7月27日の試写会が終わると、会場は熱気を帯びていた。手に汗握るアクションのオンパレードに、拍手喝采(かっさい)が巻き起こる。「ウォンビンの再発見」という称賛の声も上がった。

 映画『おじさん』は、『熱血男児』で熱い男たちの息づかいを描いたイ・ジョンボム監督の第2作。心に傷を持つ男が、唯一の友と言える隣人の少女の救出に向かうというストーリーだ。

 ウォンビンにとっては初の単独主演作。元祖イケメン俳優として、これまでは守ってあげたくなるようなイメージで女心をとらえていたが、この映画では難度の高いアクション・シーンをこなした。それでいながら、繊細さも発揮。「感性アクション」とうたった映画らしく、ラストのセリフでウォンビンが「ごめん」というと、客席からはすすり泣く声が聞こえてきた。

 「『熱血男児』を見て監督のとりこになった」というウォンビン。「初めて本格ワイヤーアクションに挑んだが、死ぬほど大変だった」と言って笑った。「でも、アクション・シーンよりもテシク(ウォンビンの役名)の気持ちをきちんと演じることのほうが重要だと思った」とも。

 「最近は、『イケメン』の前に必ず『元祖』が付く。少し複雑な気分では?」と質問すると、「年は取るもの。どうしようもない」と静かに笑った。「イケメンというイメージについては、若いころもあまり気にしなかった。いい俳優になるため努力するだけ」と力強く語る。

 『おじさん』公開後はギャラのアップが予想されるウォンビン。次回作は未定だ。幅広いジャンルに挑みたいと思っているが、ベッドシーンだけはプレッシャーだそうだ。先日、映画『房子伝』を見て、出演者のキム・ジュヒョクやリュ・スンボムにビックリしたという。


「露」だけ飲んで生きる孤独男? 実は皿洗い名人

 本当に草の露だけを飲んで生きているようなイメージがする。ウォンビンはデビュー当初から、プライベートについてはほとんど明かしていない、秘密主義を代表する芸能人だ。ところが、その言葉を聞けば聞くほど、人間的な魅力があふれ出る。

 ソウル市近郊の京畿道に住んでいる。インテリア雑誌のようなオシャレな暮らしをしていそうだが、光明市にある姉の家で暮らしている。一人暮らしではやせ細ってしまいそうだということで、しないそうだ。料理はあまりうまくない。だから皿洗い担当だとか。ウォンビンは「どちらか一つくらいは上手にできなくちゃ」と言って笑った。

 酒量は焼酎3本。運動は適度に。以前は必死になって一日2時間ずつ汗を流したが、最近は軽く40分ほど走る。「腹筋はほんの少し割れている」とご謙遜(けんそん)だ。

 親友カン・ドンウォンとゲームを楽しむという話がたびたび報じられたが、「ものすごいゲームマニアというわけではない」と告白。特に撮影スケジュールのないときは寝ていることが多い。財テクには関心も、才能もゼロ。今も、入って来るお金はそっくりそのまま通帳へ。完ぺきなアナログ人間だ。韓国で一番有名なブログサイト「ミニホームページ」が何なのか分からないくらいで、簡易投稿サイト「ツイッター」を知るまではずいぶんと距離がありそうだ。インターネットの書き込みやコメントもあまり見ない。趣味は一人で映画観覧。意外にも朝型人間だ。家の近くにあるシネマコンプレックスで朝から初回上映を見るのが好き。寂しがり屋だそうだが、がらんとした映画館で一人映画を見るときは幸せを感じるという。だからだろうか。「しばらくは結婚話もなさそう」と言って笑った。

チョン・サンヒ記者
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