チョン・ドヨン、カンヌ映画祭直前インタビュー(下)


―『下女』の完成版を見てどうでしたか。

 「感情的に偏った映画ではなく、面白い映画だと思っていたのですが、完成版を見て胸が熱くなりました。キム・ギヨン監督の原作とトーンは似ていますが、完全に違う映画です。イム・サンス監督も、原作を参考にしろとは言いませんでした」

―出演を決めたきっかけは何だったのですか。

 「シナリオに満足していたわけではありません。理解して受け入れるのが難しい部分がありましたから。お金に困っているわけでもなく、高等教育まで受けた女性がなぜ他人の家で、家政婦として働くのか、理解できませんでした。でも、イム・サンス監督は魅力的な方でした。とても平凡な話を冷めた視線でに赤裸々に見つめる監督だから、そんな監督が作った『下女』はどんなものになるのか、気になっていました」

―ベッドシーンについて、たくさん質問を受けたのでは。

 「共通質問第1位です。『エロティックさ』の視覚的な衝撃には限界があるような気がします。監督もこの映画では、違った方向でエロティックな感じを出したかったようです。わたしが演じた『下女』は、トラブルを起こしたりはせず、常に本能に正直な人物と言えます」

―スクリーンで自分のヌードを見るのはどんな気分ですか。

 「それは映画の中の人物であって、自分自身として見るわけではありません。鏡に映る自分を見るのとは違います」

―それは「プロの境地」と言えるものですか。

 「映画『ハッピーエンド』では、ベッドシーンのせいで母が泣きながら、『お嫁に行けなくなったらどうするの』と言いました。そのとき、わたしが『お母さん、幸せな結婚をさせるためにわたしを女優にしたわけではないじゃでしょう』と、逆に慰めました。それから自分の部屋に戻ったのですが、自分で自分をけなげだと思いました。初めて『わたしは女優だ』と感じた瞬間だったと思います」

―今年はカンヌでは何をしたいですか。

 「列車の旅もしたいし、海にも行ってみたいです。3年前に行った時は、部屋に閉じこもってばかりで市内見物もできなかったので」

―また受賞できると思いますか。

 「また受賞したら引退すると話しました。そんなことはあり得ないですから。ハハハ」

 カンヌ映画祭で主演女優賞を2回受賞した人物は、極めて珍しいが、いないわけではない。イザベル・ユペールやヘレン・ミレンがそうだ。だからチョン・ドヨンの冗談は、「引退する前にもう一度受賞したい」という意味に解釈してもいいだろう。

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者
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