しかし、変化に戸惑う姿の裏には、ろくでもない男への愛情と、映画に対する信頼があった。
「マーケティング上、作品のエロチシズムが強調されているが、この映画は人間の高潔さを描いている。階級社会的な面が残る現代資本主義社会で、人間の純粋さや評価されるべき価値について論じるという点が心の奥底に染みた」。
『下女』制作報告会では、撮影初期にチョン・ドヨンやユン・ヨジョンら女優陣と初めて会った時の食事で、二人の気迫に押され緊張したというエピソードを告白した。実は「その緊張感は撮影の間ずっと続いていた」という。
「どう言えばいいのかな…。撮影期間中、少しよそよそしく、変な緊張感が漂う冷ややかな関係が、逆に映画にうまく作用した。撮影がすべて終わってからいろいろな話をして、親しくなった」
初めて共演したチョン・ドヨンは、今後の作品でもまた会いたいほど、プロ意識が徹底している女優だった。「2-3階の高さから手すりにぶら下がり飛び降りるシーンがあったが、とても怖かったと思うが、素晴らしい勇気だった。学ぶべきことが多い」と話している。
話題になったベッドシーンについては「ストーリー展開上、必要な部分だったが、思ったより露出度は高くなく、大きな期待を抱いていらっしゃたとしたらガッカリするかも」とこっそり教えてくれた。
今回の作品で、生まれて初めてカンヌ国際映画祭のレッドカーペットに立つことになったのは、やはり感激だ。
「もちろん期待はしていたが、予想まではつかなかった。でも、招待されたからには、受賞も少しは期待している」と笑った。