K-POP:「セクシーPV」審議体制は機能不全(下)

放送通信審議委員会の関係者は「PVは代金を支払って見るものと思い、映像物等級委員会の所管だと思っていた。最近そうではないということを知り、審議を前向きに検討している」と語った。一部の扇情的、または暴力的な歌詞が含まれている音楽に関する審議で、「青少年有害メディア」と指定している青少年保護委員会も、PVには関心がない。「映像物等級委員会の所管だから」だ。

 各機関がこのように消極的な姿勢を取っているのは、人材不足とも関係がある。映像物等級委員会の全職員数は32人。そのうち、ビデオ・DVD などを重点的に審議するビデオ物等級分類小委員会の担当者は3人に過ぎない。放送通信審議委員会では通信審議小委員会が週に1回開かれるが、委員はやはり3人だけだ。

 淑明女子大学の朴天一(パク・チョンイル)メディア情報学部教授は、「一つのコンテンツがあまりにも多様なルートで一般の人々に消費されているため、メディアを中心に審議するこれまでのやり方は効果的ではない。職員の増員を足がかりに、コンテンツ中心の審議を行うべきだ。さらに、一般の人々の末梢(まっしょう)的な関心を引こうと血眼になっている制作者側の意識を変えるような教育にも配慮すべきだ」と述べた。

 扇情的なステージをモニタリングする機関もない。昨年末、男性アイドルグループBIGBANGのメンバー、G-DRAGONは、ソロコンサートのステージで、ベッドに縛られた女性を相手に性行為を連想させるパフォーマンスを行い、非難を浴びた。主催側は当時、このコンサートを「12歳以上観覧可」としていたが、それは勝手な判断だった。なぜなら、韓国には国内公演に関しレーティングを決める政府機関も民間機関も全く存在しないからだ。韓国コンテンツ振興院のキム・ヨンドク首席研究員は、「表現の自由を守らなければならないと考えるなら、制度的な審議を導入するのは望ましくないが、扇情性を競い合っているかのような最近のK-POP界を見ると、業界が自主審議システムを整えられるよう、政府が環境作りに乗り出す必要がありそうだ」と話している。

チェ・スンヒョン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース