業界関係者によると、最近のPVの平均制作費は1000-2000万ウォン(約78-160万円)台だという。7-8年前は数億ウォン(1億ウォン=780万円)を投じ「大作PV」が多数制作されたが、K-POP界も不況が続き、投資が急減した。このため、「低予算ピンク映画」化の道を歩むことになったのだ。
PVは歌を宣伝するためのツールのため、消費者が代金を支払い「ダウンロード」することはない。新曲リリースと同時に、一斉にインターネットや電波を通じ広まった後、刺激的なシーンがネットユーザーの間で話題になり、「○○キスシーン」「○○ベッドシーン」といったタイトルでポータルサイトの検索ランキングに入れば、芸能プロダクションとしては「万々歳」なのだ。
ケーブルテレビのミュージック・チャンネル「Mnet」の幹部は、「最近のPVと(表現・露出が)同レベルのものが数年前に放送されたとしたら、視聴者は大騒ぎしただろう。とても扇情的なため、芸能プロダクション側にPVの再編集を求めるケースはよくある」と話す。PV監督ソ・ヒョンスンさんは、「10代の女性アイドルグループはどれも音楽的には差がないため、結局はセクシーさを強調し、ビジュアルで競い合っているということ。インターネットには視聴年齢制限などがないため、今後もこうした傾向が続くだろう」と語った。
「こうした扇情的なコンテンツは日常的なレベルにまで広がり、少年らを性的に刺激、衝動的な犯罪者に追いやっている」という声もある。延世大学医学部のシン・ウィジン精神科教授研究チームは2008年、性暴行加害少年155人を対象に、「性暴行の動機」に関するアンケートを実施・発表したものによると、回答者の40%が「インターネットやテレビを見ると性衝動を感じる」とし、23%は自身が性的暴行を起こした主因に「扇情的な動画やチャット」を挙げた。また、「少年の性問題について、第1次的な責任を負うべき人は誰か」という質問で、「扇情的なマスコミ」と答えたのは回答者の26%で、2番目に多かった。
市民団体「明るい青少年支援センター」のチ・ジョンスン・メディア専門委員は「一部の歌手たちによる過度に扇情的なPVは、少年らが最も日常的に接するコンテンツなのにもかかわらず、大人たちが全く警戒していないので深刻な問題だ。少年たちに間違った性的衝動をもたらし、またそれが性犯罪を合理化する要因とされてしまうのではないかと心配だ」と話している。