現在KNTVで放送中の『クリスマスに雪は降るの?』で、悲しい運命に翻ろうされながらも初恋の女性との愛をはぐくんでいくチャ・ガンジンを切なく演じて視聴者のハートをわしづかみにしたコ・ス。「KNTV Premium 2010~春のクリスマスParty」イベント出演のため来日したコ・スは、イベントでは陽気な姿を見せ、クールな中の寂しげな瞳が印象的だったドラマとはまったく違った姿を見せてくれた。そんなコ・スの素顔に迫った。
―『クリスマスに雪は降るの?』を選んだ理由は何だったのでしょうか。
「私が選択したというよりも、選択されたようです。すべての作品にいえることですが、やりたいからやるということではなく、お互いが望んでこの機会が得られたのだと思います。作家のイ・ギョンヒ氏の前作品を楽しく拝見しました。ドラマ『ごめん、愛してる』『ありがとうございます』などです。それで、先生の作品に出てみたいと思っていたので、一緒にやりたいと提案をもらった時はとてもうれしかったです」
―久しぶりのドラマですが、どんなところに苦労されましたか。
「苦労はしなかったですね(笑)」
―つらかったことはなかったのですか?
「なかったですよ。面白かったです」
―では、どんなところが面白かったんでしょうか。
「久しぶりの現場で、映画や演劇とはまた別の感覚があって…。ドラマには、別の面白さがあるので…それで、現場が楽しかったんです。長く現場から離れて4、5年ぶりに再び復帰して、現場が次第に面白くなっていきました。寒い冬の撮影で雪もたくさん降ったし、ガンジンが決して単純なキャラクターではないため、いろいろと大変な状況もありましたけど、とにかく楽しかったです」
―ガンジン役についてですが、愛を表現できずにもどかしい部分が多かったようですが、その点をどう思いますか。
「単純に、断面的に自らの愛を守れなかったわけではありません。それには多くの理由があったからです。ジワンを愛してはならない理由が、ガンジンにはあったのです。ジワンの兄の死など…理由があったからです。なので、納得できました」
―愛の表現についてはいかがですか。
「自分一人が犠牲になることで、他の人たちの愛を守ることができる、とガンジンは考えていたんですね。ジワンに愛する思いを表現することができなかったし、母に対する愛も、(お母さんを)許して見送ったではないですか。そして、自身の愛がなぐさめになり、そのような方法がジワンの母を迎えることによって、ジワンを身近に感じたかったのでしょう。どれほどつらかったことか…愛しているのに愛を表現できないなんて…もどかしいですよね」
―後半でジワンの母と一緒に暮らすことになりますが、どうしてそうなったのか、と疑問でした。
「初めの場面で、サンチョンに行く途中、ガンジンの母が横断幕を破ることに意味があるんです。ガンジンの家族がサンチョンにやってきたこと、それがジワンの不幸の始まり、そして運命の始まりだったんです。すべては、自分の家族、母をはじめとして、自分がサンチョンに行ったために愛する人を苦しめることになり、すべては自分のせいだという罪の意識があるのです。ジワンをとても愛していてそばにいたいのですが、自分のペンダントのせいでジワンの兄が死んでしまったという思いでどれほど辛かったか…。
ジワンは、自分を捨てるのが難しいと思い、ガンジンはずっと愛を表現できなかったんです。のちに、ジワンの母がガンジンを自分の息子だと錯覚したとき、知らんぷりできなかったのです。ガンジンはそこまでしてでも、そばでジワンを見ていたかったのですね。自分がジワンの母を迎えなければ、ジワンを見ることはできなくなるので、そうしてまでもそばにいたかったカンジンの気持ち…」
コ・スにガンジン論を語らせると止まらなくなった。キャラを深く入っている俳優というより、思い入れたっぷりに客観的分析をする視聴者かコメンテーターのように雄弁に語るところが意外でユニークなコ・スだった。
東京=野崎友子通信員