チョン・ドヨンは、今回の作品に出産後の女優復帰作以上の意味を持たせることに慎重だった。出産後の女優復帰作というのも周囲が言っていること、というのがチョン・ドヨンの話だ。
「わたしは作品をやるたびに情熱とエネルギーを注ぎます。その作品について、誰かに意味を問われたら、その時初めて立ち止まり、作品を振り返ります。わたしは今が一番大切で、充実していると思っています。それが今のわたしです」
チョン・ドヨンは一児の母になったが、やはり今も変わらず女優だという。チョン・ドヨンに一児の母でいたいのか、女優でいたいのかを尋ねた。すると、「わたしはだだ、チョン・ドヨンであるだけ。それは女優チョン・ドヨンでもあるし、母親チョン・ドヨンでもあります。わたしは子どもも大切だけれども、自分自身も大切だと思います」と答えた。
「今後も子どものためにわたしが犠牲にならなければならないことが起きて、あきらめなければならない時もあるでしょうが、わたしは犠牲にできるところまでやるつもり。わたしの犠牲の分を子どもに回すことはできないから。もちろん、子どものためにわたし自身、迷うこともありそうですが」
チョン・ドヨンは映画『下女』への出演を決めた時も、結婚や出産のことを考えるよりも、作品や配役のことだけを思い描いていたそうだ。出演を決めた後で、初めて「わたしは結婚していて、今は妻であり、母親なのに、露出シーンは大丈夫かしら?」と思ったという。
「カンヌ女優」チョン・ドヨンは今も女優を夢見ている。「わたしが演じた役のごく一部です。世の中には人が大勢いるのだから、いろいろな役があるのではないでしょうか」。チョン・ドヨンは2度目の主演女優賞受賞について、「2度の受賞というのは本当に大変なこと。受賞できるかどうかとは関係なく、作品が認められたことだけで満足しています」と少しはにかんだ。チョン・ドヨンの大胆な変身に、世界の映画人たちの関心が注がれている。