韓国で今、成功の秘訣を教えるドラマが人気

愛だの人情だの「夢物語」は終わり、「露骨なタイトル」で勝負

成功万能主義あおる恐れも


 「金持ちになりたい? 億万長者になりたい? これから韓国の上位1%しか知らない、金持ちになる方法を教えてやろう」

 先週スタートしたKBS第2のドラマ『富豪の誕生』の主人公ソクボン(チ・ヒョヌ)が言ったせりふだ。そして、「金持ちが誰と何をし、何に関心があるのか、彼らがすることとしないことが何なのかを知っておかなければならない」と繰り返し強調する。彼は、自分を財閥グループ総帥の隠し子と信じている、ホテルの下っ端従業員だ。

 テレビでは、あからさまに成功の秘訣(ひけつ)を教えるドラマが溢れている。愛や人情といった非現実的なファンタジーを描いていたかつてとは違い、ストレートに金や学歴を強調し、人生で成功する方法を教える。「そんなことは恥ずべき」と露骨な描写を嫌った時代とは、ずいぶん違う。

 以前も、億万長者になるなど、成功した人々に関するドラマはたびたびあった。しかし、富豪たちは庶民と交わり、彼らの生活にとけ込んだり(『花より男子~Boys Over Flowers』など)、成功を遂げた主人公が後に野望のはかなさに気づいたり(『白い巨塔』など)、人もうらやむ学歴を持つ若者が遅い思春期・反抗期の訪れに苦悩したり(『ラブストーリー・イン・ハーバード』など)していた。

 ところが、最近のドラマは、こうした以前のドラマに比べ、成功に至る道そのものを一つ一つ明確に描いている。先月終了したドラマ『勉強の神』(KBS第2)は当初から「天下大学(ソウル大学)に合格する方法」をテーマに掲げ、話題になった。

 同じく先月終了した『名家』(KBS第1)も、慶州・崔氏という名門一族がどのように富と権力を行使したかをテーマにしていたし、このほどスタートした『巨商・金万徳(キム・マンドク)』(同)は、済州島出身の卑しい身分の女性が、いかにして朝鮮最高の富を築く商人になったかを描くという。

 ケーブルテレビではさらに一歩先を行き、実際の富豪を登場させている。1月に批判を浴びて放映が取りやめられた、ケーブルテレビチャンネル「オンスタイル」のリアリティー番組『パパ・リッチ』がその代表的なケースだ。MBCライフは、富豪の生活を紹介する『ポッシュ・ウエーブ』を3日から放送している。

 国民大学メディア情報学科のイ・チャンヒョン教授は、「社会が安定し、富に対する社会的な抵抗感が少なくなったことから、既存の社会秩序を認めるムードがドラマにも積極的に反映されているのだろう。だが、『成功しさえすれば手段は選ばなくてもいい』という成功万能主義的なメッセージを投げかけている点は憂慮すべき」と指摘している。

パク・セミ記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース