梅の香りに誘われ花紀行 /全南・光陽


 巨文島や梧桐島など、韓国の南の島をツバキの花でピンク色に染めた春の神様が、3月に入り、智異山の山すそを流れる蟾津江沿いへと北上。そんな春の神様が創り出す最初の作品が梅だ。梅は可愛らしい小さな花びらと甘い香りが魅力的な春を代表する花だ。ほかの花が長い冬眠から目覚める前に一足先に咲き始め、その清楚な美しさで人々を魅了する。

 朝日を浴びながら、金色に輝く蟾津江の流れに沿って進んでいくと、たくさんの梅の木に囲まれた小さな村にたどり着く。全羅南道光陽市多鴨面の蟾津村だ。この村は別名「梅村」と呼ばれる。今年、この村の梅は3月初旬からつぼみを膨らませ始め、10日に2分咲き、14日には3分-4分、そして20日ごろに満開を迎えた。冬の寒波のため、例年に比べ1週間ほどの遅咲きとなったが、お陰で、梅の花を4月初旬まで観賞できる。

 3月下旬、満開の梅に囲まれたこの村は、白い砂浜が絵のように広がり、蟾津江550里の中で最も華やかな雰囲気を演出していた。


 村の入り口に植えられたさまざまな種類の梅が、初春の冷え込みにも負けず、われ先にときれいな花を咲かせている。

 緩やかな丘を5分ほど上ると、2500個余りのかめがズラリと並ぶ珍しい光景が目の前に広がる。このかめの中では、暖かい春の日差しをたっぷり浴びながら、梅みそや梅コチュジャン(唐辛子みそ)が少しずつ熟成されていく。

 さらに坂道を登ると、梅林に建つ東屋がある。満開に咲く梅の白い花びらが風に舞う中、梅林を見渡すことができる場所だ。

 青梅農園ではひっそりと咲く草も根も、まったく無駄なものがないように見える。梅、竹、かめ、あぜ道など、すべてが景色の中に完ぺきな姿で収まっている。


 そのためこの農園は、映画『風の丘を越えて-ソピョンジェ(西便制)-』や『酔画仙』、『風のファイター』 、ドラマ『チェオクの剣』など、数多くの作品のロケ地にもなった。イム・グォンテク監督の100番目の作品となる『千年鶴』も、ここで撮影された。

 またここは、生涯ずっと梅を育てて生きてきたホン・サンリさん(68)=政府指定伝統食品名人=の汗と涙の結晶ともいえる場所だ。

 贅沢を知らず、数十年前の古い麦わら帽子を今もかぶって作業している。しかし、その帽子の下からのぞくホンさんの笑顔は、不満などまったくないかのように幸せそうで、静かな気品が漂っている。

 この地で咲き始めた梅は、徐々に北上しながら周辺の村へと広がり、3月中旬には満開となり、4月初旬まで楽しめる。

キム・ヒョンウ記者
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