【インタビュー】「たまには悪い男になりたい」イ・ソンギュン(上)


 ある時にはスーっと甘く口の中で溶けるアイスクリームのように、またある時にはまったりとしたクリームチーズのように女心をメロメロにする男。いつからか「ソフトな男」の代名詞になったイ・ソンギュンは、今まで主にそうした役ばかり演じてきたし、それにオーバーラップするようなイメージでドラマや映画はもちろん、CM界を制している。しかし、本人はいつも同じイメージがちょっと嫌になってきたようだ。ドラマ『パスタ』では念願の「悪い男」役を演じている。

 女心をとろかすソフトな男のシンボルになってからというもの、『コーヒープリンス1号店』では恋人にハスキーな甘い声で歌を歌うチェ・ハンソン役を演じた。甘すぎて、かえって非現実的なキャラクターではあったものの、彼のコーヒーの香りは実に深く濃い余韻を残してくれた。翌年は『マイ・スウィート・ソウル』で共演のチェ・ガンヒと熱演、イ・ソンギュンならではの感性を見せてくれたと思ったら、『トリプル』では紳士的かつ都会的な男性に変身した。

 「実は僕、そんなに『ソフトな男』じゃないんですよ。優しいというよりも、無愛想なタイプですね。だから、うちの家族に時々『羊の仮面を脱ぎ捨てたら?』と言われます。『一日も早く視聴者の皆さんに本当の姿を見せなさい』って(笑)」

ついに「ツンデレ男」に!?

 そして2010年。長年の「宿願」はついにかなった。『パスタ』で周囲の人々に対しつっけんどんで神経質、所かまわずキレて、権威主義的な価値観を押しつける悪い男に大変身したのだ。彼の登場に、甘いロマンスを期待していた女性ファンは、かなりガッカリしただろうが、そんな悪い男の役さえ受け入れられるほど、イ・ソンギュンは真の「頼もしいイメージチェンジ」を遂げたのだ。

 「実は、今回演じている堅物で偉ぶっているシェフ役は、とげとげしいなんてレベルじゃなく、本当に嫌なヤツ(笑)。それまで演じ続けてきた役柄とは違うので、プレッシャーもあったし心配もしたけれども、気持ちよくチャレンジしているから、最近は撮影現場に通うのが楽しいくらい。俳優が慣れない役をやる時はつらいこともあるが、その道を進むうちにまた別の大きな道を見つけられるようになると思います。『パスタ』は僕にとって、そういう道を教えてくれた作品です」

 1月4日にスタートしたこのドラマで、イ・ソンギュンはイタリアン・レストランのシェフ、チェ・ヒョヌク役を演じている。料理に関しては他の追随を許さず、恋もベテランという男。ところが、事あるたびに自信満々で傍若無人な態度を取る。失恋した心の傷を隠そうと、わざと女たらしのように振る舞ったりするが、この秘密がバレるまでは変わらず不親切でプライドが高い「悪い男」なのだ。

 「僕が演じているチェ・ヒョヌクは、一言で言えば複雑な人物です。調理場の外では悪い男ぶっていますが、だんだんと時間がたつにつれ、恋のエピソードも登場し、ただの悪い男とは違ってきます。もちろん、僕がこれまで演じた役の中では一番悪い役ですが、僕なりにいたずらっ気のある憎めないキャラクターとして表現しようと頑張っているところです」

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