■友人たち
チョン・ソニは、いわゆる「チェ・ジンシル師団」のメンバーで、イ・ヨンジャ、イ・ソラ、ホン・ジンギョン、オム・ジョンファらと親しいことで有名だ。アン・ジェファンさんの死も衝撃だったが、仲間たちにとって、チェ・ジンシルさんの死は青天のへきれきよりさらに大きなショックだった。
「その時は、お互いの安否が一番切実でした。まるでシステム化されているように、義務的に毎朝電話をかけ合い、お互いがお互いの安否を確認していました」
当時は、ほかのメンバーにも何か起こるのではないかとファンたちが心配するほど深刻だった。実際、彼らにとっては、息をすること自体が苦痛の連続だった。そして時間は流れ、改めて自然治癒の偉大さを見た。
「そのように時間が過ぎ、メンバーたちはとても多くのことを経験したので、お互い会ってはいけないというような気がしました。悲しい思い出ばかりが頭をよぎるので」
そうしてまたしばらく時間が流れた。「今は涙を流す段階は過ぎました。大人らしく、黙って支え合い、それぞれ自分のやるべきことをこなすのがお互いのためになると思っています」
今は悲しみを共有した友人たちとたまに会い、お互いの近況を報告しているという。完ぺきではないが、確かに日常に戻ってきたようだ。「残った者の悲しみ」は、残された自分の人生をさらに忠実に生きていくことだ。
■チェ・ジンシル
チョン・ソニにとって、故チェ・ジンシルさんはどんな存在だろうか。チョン・ソニの人生で、一番大切な時間を共に過ごし、一番大きな悲しみを抱かせた人物でもある。
「わたしがジンシルさんのことを話すのは、とても難しいしつらいです。一言、あるいは一文で整理するのは…。一つ確かなのは、わたしにとってジンシルさんは過去ではなく、現在進行形ということです」
チョン・ソニはチェ・ジンシルさんについて、簡単に口を開けなかった。チェさんの話が出ると、何かを飲み込むように呼吸が長くなり、声は少しずつ小さくなっていった。
「初めはわたしが生きているというのがとても申し訳なくて、ジンシルさんお母さまのところに伺うことができませんでした。でも、頭の整理が出来てくると、“ジンシルさんの代わりに、わたしが(ジンシルさんの)子どもたちに報いるべきではないか”と思いました」
チョン・ソニは勇気を出してチェさん宅を訪れ、チェさんの母親はチョン・ソニを喜んで迎えた。また、チェさんの子どもたちもチョン・ソニを慕った。
「今はしょっちゅうジンシルさんの家に行っています。子どもたちはジンシルさんに似て、明るく強いです。一緒に遊んでいるときは楽しく過ごしますが、帰るときは本当によく泣きます。子どもたちには、誰も(ジンシルさんの)代わりはできない、心の穴や痛みがあります」
チョン・ソニは旧正月(旧暦1月1日、今年は2月14日)連休に、また子どもたちの元を訪れるつもりだ。