インタビュー:コ・ス「どん底を経験したから怖いものはない」


 デビューから12年たったが、全く年齢を感じさせない「尋常じゃない美しさ」の持ち主、コ・ス(31)。昨年11月に公開された映画『白夜行』から広がり始めた「コ・ス病」は、一向に衰える気配がない。コ・ス+ハヌニム(神様という意味の韓国語)で「コヌニム」、コ・ス+ダビデ像で「コビデ」など、コ・スを称賛する新しい造語は次々と生み出されているが、本人は湖のように静かで揺らぐことがない。ぼたん雪が降った日、ソウル市江南区の無国籍料理レストラン「枝」で、SBSの水木ドラマ『クリスマスに雪は降るの?』終盤の撮影に終われるコ・スに会った。

入隊して変化したことは?

 スッキリと着こなした黒のスーツに、清潔感あふれる目は、まるでイギリスからやって来たジェントルマンのようだ。丁重に握手を求め、さわやかな笑みを浮かべるマナーのすばらしさは、女性のハートをつかんで放さない。「本当に美男子ですね」という記者の言葉に、コ・スは照れ笑いするばかりだった。

 「軍隊に行って来てから、自分でも少し変わったと感じています。以前は感情のコントロールがうまくいかない時もありました。振り返ってみると、僕の一言に傷つき、不快に思う人もいたはずなのに、若すぎてよく分かりませんでした。今は相手を気遣う気持ちをまず持とうと努力しています。不機嫌でも撮影現場ではそうしたそぶりを見せず、ワープするんです。感情の起伏が激しかった20代のころとは違い、最近はちょっと淡々としているというか…。役にハマっていない限り、日ごろは感情の起伏や興味を感じることがなくなりました。ちょっと退屈ですが(笑)」


 同世代よりも落ち着いた性格は、周囲の人々の証言からも分かる。同じ事務所(HBエンターテインメント)の後輩イ・ジヌクは、「コ・ス先輩に初めて会った時、僕の印象を詩のような文につづって渡してくれてビックリしたのと同時に、胸を打たれました」と話す。この話をすると、コ・スは「詩じゃなくてただのメモなのに…」と手を横に振った。

 「詩や小説は好きです。いい言葉はその都度メモする癖があります。いい人に会ったら、僕が感じたことを文につづり、渡すこともあります。つまらない落書きみたいなものです。今回もドラマのスタッフに、紙切れなどに落書き(?)して渡しました。あるスタッフから『サインしてほしいと言ったわけでもないのに、すすんで渡してくれるなんて』ってからかわれました。ただ、『思い出になれば』とゆとりがある時にやっているだけです」

 デジタルよりアナログに近いコ・スの感受性が十分伝わるエピソードだ。急がず、落ち着いて一歩ずつ歩んでいく性格は、除隊後の歩みにも現れている。07年に除隊したコ・スは、すぐに大作ドラマや映画に取りかからず、ソウル・大学路にある小規模劇場の舞台に立った。


 「除隊してから3カ月後に芝居の舞台に立ちました。実は、チョ・ジェヒョン先輩がプロデュースした『演劇熱戦』というプログラムの一環だったんですが、僕が舞台に立つことになったという話は、チョ・ジェヒョン先輩の新聞インタビューで最初に見つけました(笑)。記事を見た後に先輩から電話をもらって困惑しました。でも、自分自身のためになると思ったし、初心に戻る気持ちでやることにしました。一般の皆さんにすぐに忘れられそうだという怖さとか、焦りはあまり感じませんでしたね。どん底を経験したからでしょうか」

 今年の抱負は?

 「より愛される俳優になりたいです。コ・スという俳優の登場を待ち、歓迎してくださったらうれしい。作品に出演することでもっと実力を磨かなきゃ。実は『ヒットするかな』といったプレッシャーもあまりありません。仕事が全くできなかった時期もあるし、どん底まで行った時もあるからでしょう。怖いとは思わない。

あとは前に進むだけです」

イ・インギョン記者
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