自殺した女優チェ・ジンシルさんに対し、マンション建設会社のS社が生前に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し審で、ソウル高裁は9日、訴訟を引き継いだチェさんの子ども2人に対し、チェさんの所属事務所と共同でS社に2億ウォン(約1550万円)の賠償金を支払うよう求める原告勝訴の判決を言い渡した。
S社はチェ・ジンシルさんが2004年8月、当時の夫でチョ・ソンミンさん(元巨人)に暴行されたとして、腫れ上がった顔の写真をメディアに公開したことに不満を抱き、広告契約の解除を通告するとともに、慰謝料などとして30億5000万ウォン(約2億3600万円)の支払いを求める訴訟を起こしていた。
同高裁は「被告が記者にあざができた顔や暴行現場を撮影させたのは、適切な対応の程度を超えている。家庭不和の事実が詳細に公開されたことでイメージが低下したため、販売宣伝効果という経済的価値が傷ついた」と指摘。その上で、被告が本人の過失で「品位維持義務」に反したもので、チェさんの子ども2人が賠償債務を半分ずつ相続すべきと判断した。
今回の裁判では、一審がチェさんに対し、所属事務所と共同でモデル料2億500万ウォン(約1560万円)をS社に返還するよう命じる原告勝訴の判決を下した後、二審は「チェさんが暴行を積極的に誘発した証拠がなく、自ら名誉を傷つけたとは言えない」として、一審判決を破棄し、原告敗訴の逆転判決を言い渡した。
ところが、大法院(最高裁に相当)は上告審で、「広告モデルとしての品位維持義務を守れなかった場合、損害を賠償すべきだ」として、審理をソウル高裁に差し戻していた。