■ファンたちの静かな悲鳴
1幕2場が始まり、赤いコートを着たジュンスが舞台に初登場した。ハスキーな声が、吐く息とともに震えていた。緊張した様子がありありと見てとれた。
2曲目のバラード風の曲を歌うときには、少しずつ安定を取り戻していた。歌が終わると、客席からは力強い拍手が2、3秒続いた。歓声を上げる女性ファンもいたが、コンサート会場に比べると「静かな悲鳴」だ。
ジュンスは父親レオポルト・モーツァルト(ソ・ボムソク)とのデュエットでも、大きなミスなく無難なハーモニーを演出した。ほかのミュージカル俳優たちに比べ、歌のブレスが短いのは仕方ない。1幕12場。ジュンスは未来の妻となるコンスタンツェ(チョン・ソナ)にほおを突き出し、キスを要求する。コンスタンツェの唇がほおに触れようとした瞬間、ジュンスは彼女の方に顔を向け、自分の唇を重ねた。うらやましさと驚きの入り混じった悲鳴が客席に響き渡った。イム・テギョンやパク・ウンテが高音を地声で歌ったのと違い、ジュンスはファルセットで処理した部分がいくつかあったが、大きなミスはなかった。
■ミュージカルファンvsジュンスファン
途中休憩の時、最前列の真ん中に座っていたミュージカルファンの元を訪れた。ジュンスの演技や歌に対する感想を聞いたところ、冷ややかな指摘が相次いだ。
(1)ディクションが良くない(セリフ回しがうまくないという意味)。(2)歌手としては素晴らしいが、発声は物足りない。(3)ロック音楽が多いが、パワーが弱い。
「100点満点で何点だと思う?」と尋ねると、「70点」という答えが返ってきた。ある30代女性ファンは、「ミュージカルに挑戦する初作品で、しかも今日が初日だった。初舞台にしては良かった。一生懸命練習した努力の跡が見える。これぐらいの出来なら、成長していく可能性が高い。ミュージカルに挑戦する芸能人の中には、その公演が終わる最終日まで0点の人もいた」と語った。
2幕が始まった。その後もジュンスのファンは静かに劇場でのエチケットを守った。あるミュージカルファンは、「ジュンスのファンクラブのホームページに、会場のマナーを守ろうというキャンペーンがあった」と語った。カーテンコールの時は、コンサート会場をほうふつさせる歓声が上がった。どのミュージカル公演会場でも、カーテンコールでは大部分そうだ(もちろん作品が面白いことが前提)。
劇場のロビーで会った日本人女性ファン(34)は、「ジュンスは本当に天才。モーツァルトをうまく表現していた。1月は日本人ファンが知らない間にチケットが完売となり、多くの人が来れなかったが、2月は日本からかなり多くのファンが劇場を訪れるだろう」と語った。
今年大学に入学するというチョン・ダヒさんは、「1幕では少し不安だったが、2幕はうまく演じていたと思う。特に感情移入が良かった。練習をしすぎて声がかれていたようなので、かわいそうだった。一緒に来た友達は見ながらすごく泣いていて、マスカラがにじんでいた」と話した。
エンターテインメントチーム