―現在、1月から始まるSBS時代劇『済衆院』でペク・ドヤン役を演じられていますが、このドラマに出演を決めたのはどういった理由でしょうか。
「ドンウクがあまりにも貧しい家の生まれだったので、その反動で裕福な、お金持ちの役をやってみたいと思ったからです(笑) ちょっと冗談です」
―撮影に入る前に、何か特に準備をされましたか。
「自分はいつも作品に入る際には、キャラクターを視聴者の皆さんに伝えるためにどんなメッセージを込めたらいいのかなどを事前に考えたり、リサーチしたりして役作りに入るんです。パク・ヨンウさん演じるファン・ジョンという役は実在する人物なんですが、僕の演じるペク・ドヤン役は、実在する人物ではないのでキャラクターを作るのに時間がかかりました。
手術のシーンなどは撮影をしていく中で覚えていけばいいのですが、両班の出身という役ですので、上手に馬に乗らなければいけないシーンがあり、2カ月くらい乗馬の練習をしました」
―パク・ヨンウさん、ハン・ヘジンさんとの相性はどうですか。
「とても息があっている気がします。お互いがお互いに必要な演技を忠実にやってくれているような気がします。パク・ヨンウさんの役は、両班のようにふるまっていますが、本当は一番身分の低い人なので、僕の演じるドヤンが来ると頭を下げてくれる、といった演技をしてくれます。
ドヤンは両班出身ですから、悪いことをしても堂々としていたりというところもあります。この僕たち二人の間をハン・ヘジンさんがつないでくれてバランスを保ってくれているようなところがあって息がピッタリ合っていると思います」
―先日の制作発表会で、「実生活ではできないようなことができる役。溜まったものがあるせいか、演じられるのがうれしい」という発言がありましたが、何か日ごろストレスでも?
「悪役を演じるということで、善人と悪人の役はどちらがいいですか?というような質問に答えたものなんです。善人というのは、定義があるので理解できない部分でも理解できるようにふるまわなくてはいけないですし、怒るべきところでも怒らずに、いい人になっていなければいけないですよね。それに比べてドヤンという役は怒りたいときに怒るし、嫌なら嫌、好きなら好きとハッキリ言えるキャラクター。それで、すごくいいですねと言ったんです。普段僕が心の中に溜め込んでいるとか、何かを我慢しているとか、そういうことではないので誤解しないでくださいね(笑)」
―自分の自信のあるところ、セールスポイントを挙げるとすればどこでしょうか。
「皆さんから、優しそうですね、などと言われるんですが、そういう顔立ちだとなかなか悪役は回ってこないんですが、僕の場合は偶然少しずつ悪役的なこともやってみたら、人から『ルックスはすごく優しそうに見えるけど、そういう人ほど怒った時がすごく怖いですね』って言われました。ですから、今回の役は決定打になるんじゃないかと思っています。
ドンウク役というのも、最初は優しいイメージから少し変化を見せられたとしたら、ドヤンはアップグレードさせたようなところがあるんじゃないかと思います。そんなふうに極端な部分、優しいいい人の極地と悪役的な極地の両方を見せられるというのは、もしかしたら自分としての長所なのかなと思っています」
家で仕事の話をしたり、台本の読み合わせなどをするのかと尋ねると、「よくしますよ。相談もよくしています。ここのところは、こう表現したんだけどどうかな、とか話たりしますし、台本を読む練習なども家でよくやっています」と笑顔で答えた。奥さんは、女優のハン・ガイン。おしどり夫婦として有名なカップルだが、妻のサポートも彼の仕事の充実に欠かせないものとなっているようだ。
ヨン・ジョンフンは、2番手主演の役どころが多いが、時には主役を引き立て、時には主役を食うという役どころを柔軟にあやつることができる俳優だ。現在日本ではTBS系で『エデンの東』が佳境に入りつつある。出生の秘密が徐々に明らかになり、ヨン・ジョンフンのそんな演技力が見られる展開となる。そして、初めて挑む時代劇『済衆院』。金持ちで、思うままに行動するドヤン役にも大いに期待したい。
東京=野崎友子通信員