インタビュー:日韓合弁企業・三南石油化学の副社長赤沢誠司

歌で韓国に親しむ


 「日韓交流おまつり2009」を無事に終えた後、インド出張から戻ってきた赤沢誠司副社長に、高級韓定食(韓国料理フルコース)レストラン「タルゲビ」(ツユクサの意)で会ったのは、春のように温かい日だった。恰幅(かっぷく)のいい体に穏やかなほほ笑みを浮かべた顔。この魅力的な男性は、日本の三菱化学と韓国の三養社、そしてGSカルテックスとの合弁企業「三南石油化学」で 働く唯一の日本人だ。韓国での生活は、今年12月で通算3年になる。

-なぜ韓国へいらっしゃることに?

 「現在勤務している三南石油化学は、1988年に日本と韓国の企業が共同出資して作った会社で、もう20年になります。テレフタル酸(TPA)というポリエステル原料を製造・販売しています。韓国へ来るまでは、三菱化学の東京本社で韓国を始めインドネシア、インド、中国の海外事業所を管理する仕事をしていました。3年前に辞令を受け、韓国に来ることになりましたが、おそらく、わたしが社内で一番礼儀正しいから、礼節を重んじる韓国にふさわしいということで、選ばれたのだと思います。ところが社員たちは、わたしがお酒をよく飲むから、韓国社会にすぐ適応できるからだっ、と言っています」(笑)

-韓国に対するイメージは具体的にどのように変わりましたか

 「韓国に駐在する前から、50回はソウルに来ていたので、自分でもよく知っていると思っていました。でも、実際に生活してみると、以前は気づかなかった小さな喜びに気づきました。例えば、近所の人や行きつけの飲食店の店長が親切で、とてもいい気分になることがよくあります。知れば知るほど家族のように親近感を持ってくれます。他人のために心から笑ったり、怒ったりするところに人間味を感じます」

-韓国と日本は近い国ですが、まだ交流すべき分野が多いと思います。大手企業で仕事をなさっているので、こうした点についていろいろとお考えになることもあると思われますがいかがでしょうか。

 「当社の麗水工場は、もともと日本の三菱化学の技術で作られました。20年前は日本人のスーパーバイザーがマニュアルを作成し、一つ一つ教えましたが、今は日本よりもはるかに優れた作業技術を持っています。命令指揮系統、労務管理能力、目標達成の推進力など、どれ一つとっても世界一ではないでしょうか。別の言い方をすれば、日本を高度経済成長に導いたおやじ世代の気概が、韓国には今も息づいているように感じます。日本ももっと努力しなければなりませんが、あるいは日本と韓国がそれぞれ得意分野を担って、合作で世界展開するようなビジネス・モデルも面白いでしょう」

-オフタイムは主に何をしますか。韓国で新たな趣味ができましたか。

 「合唱です。ソウルジャパンクラブ(日本人会)の先輩の勧めで始めたのですが、韓国人の団員も多くて、指揮者も韓国人です。韓国の方との合唱練習は本当に情熱的です。下手な韓国語で話すよりも、歌から生まれるハーモニーで韓国人と交流できる喜びはまた格別ですね。それに、練習後に食べるチヂミとマッコリ(韓国の濁酒)の味は本当に最高です。12月5日には毎年行っているクリスマス・チャリティー公演があります。」

-これまで旅行で行ったところのうち、一番お気に入りの場所はどこでしょうか。

 「一番よかったのは忠清南道の扶余です。韓国の歴史を深く感じられるだけでなく、そのあたりの農村風景を見ると、わたしが小さいころ行った母の故郷(四国の香川県)とそっくりなので、とても驚きました。ソウル市内でお買い得なショッピングをしたいなら、深夜1時、2時に東大門市場へ行くといいでしょう。ショッピングに熱中した後、屋台で食べる味は忘れられなくて、海外のお客さんが来ると、よく一緒に行きます。特に光熙市場では、梨泰院よりもっとリーズナブルな値段で革製品が買えます。」

-だいぶ寒くなりましたね。この季節に韓国にいらっしゃる日本人にお勧めのスポットは?

 「寒い日は何といっても韓国式サウナ『チムチルバン』が最高です!」

-一番お好きな韓国料理は?

 「一番好きなのはスンドゥブチゲ(おぼろ豆腐のチゲ=鍋料理)です。新沙洞の街路樹通りにある『キム・ブクスン・クンナンビチブ』という店をお勧めします。焼肉なら、三清洞の『ビナリ』へ行ってみてください。大切な人と一緒のときは、ソウル・プラザ・ホテルにあるレストラン『トスカニー』の奥にある鉄板焼きカウンターが落ち着けます」

-来年の抱負や計画があったら教えてください。

 「個人的なことで言えば、韓国での生活の折り返し点を過ぎたと思っています。これまでお世話になった多くの方々に誠意をもって恩返ししたいです。義理人情なら日本人も負けませんから」

タルゲビ

「韓国のお母さん」の真心がこもった自然食の韓定食レストラン

 大切なお客様との、大切なひとときのため、よくこの店に来るという赤沢副社長。この店は今年6月、店舗拡張のため三清洞から貞洞に引っ越した。1階にはカンファレンス・ルームやカフェといった付属施設とレジデンス客室が、地下にはヘルシーな韓定食が味わえるレストラン「タルゲビ」がある。以前よりも高級感たっぷりで、宿泊もOK。景福宮・徳寿宮・仁寺洞・南大門市場などがすぐそばという便利なロケーションも大きなポイントだ。

 美しく味わい深い料理で有名なこの店は、最高級の旬の食材を使っており、しかもできるだけ長期保存はしないという鉄則を守っている。味付けに使う塩辛やみそ類は、仕入れ先の産地で直接作り、空輸してもらうということで、新鮮さは保証付き。化学調味料などとんでもない。この店では塩さえ甘い。ランチコースは「季節膳」という名前で、生きのい

■開館案内

*住所: ソウル市中区貞洞3番地
*Tel: 82‐2‐765‐2068
*営業時間: ランチ:11時30分-15時 ディナー:17時30分-21時
*定休日:日曜日休業

記事=オ・スンヘ, 写真=チョ・ジョンソク

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