インタビュー: キム・ボム「人間の両面性を表現する役をやりたい」(下)

 キム・ボムが『MY DREAM』で共演した大先輩の俳優チュ・ジンモ、演技初挑戦のソン・ダムビについての印象は、どのようなものだったのだろうか。

 「ソン・ダムビさんは有名な“チェアダンス”で韓国じゅうの男性をとりこにした最高のアーティストですよね。でも、実際に会って、演技で顔を合わせてみたら、ステージでの姿とは違ってすごく人間味が感じられました。演技に初めて挑戦したので、いろいろ大変だったと思いますが、自分が力になれなくて申し訳なかったと思っています」。

 現場をリードしたといわれるチュ・ジンモについては「今まで重くてシリアスな役をやられていた印象が強く、最初は距離感を感じました。でも、冗談を言ったり、演技の相談に乗ってくれたりもして、撮影現場のムードメーカーでした。感情をコントロールすることが素早くて、いたずらしていても、自分の出番になると、すぐ『MY DREAM』の寂しいキャラクターに変われるんです」とし、そこからいろんなことを学んだと語った。

 また、その演技にはアドリブが多かったといい、「最初、チュ・ジンモさんも(父親役の)オ・ダルスさんもアドリブが多すぎてよくあせりました。まだ、僕にはアドリブをする余裕はないです。ただ、受けるだけでいっぱいいっぱいです(笑)」。


 キム・ボムは、『花より男子』の直前には『エデンの東』に出演していた。『MY DREAM』の前には映画『飛翔』も撮影している。ほかの俳優に比べて、空白期間を作らず、作品に出続けている。

 「休みなく演技を続ける理由は、新しいものに挑戦したい“欲”ですね。この服をすごく来てみたいと思ったのに、他の人に着られちゃったら後悔する!と思って、チャンスが来たらつかむようにしています。3年間、ほとんど休みなしで働き続けました。正直、休みたいと思ったこともありますが、撮影現場が好きなので、実際現場に行ったらそんな思いがなくなっちゃうんです」

 そんな仕事大好き人間のキム・ボムも、さすがに少し休みの必要性も感じ始めている。

 「『MY DREAM』の撮影でかなり苦労したので、これから少しは余裕を持ちたいです。休みなしで撮影していると、ファンと触れ合う機会もないです。F4も僕抜きでイベントに行ったこともあるし、海外のプロモーションも頑張らなきゃと思っています。学校に行くのは不可能なので、休学届を出しました。でも学びたいことが多いので、また余裕ができたら復学したいです」。

 休んでほしい一方、やはり期待もしてしまう次回作。このところアクション系が多いが、「正直なところ、次回作はもうちょっとソフトなものをやりたいです。もちろんアクションは魅力的なジャンルですが、新しいジャンルに挑戦したいです。特に何をということではないのですが、まだ経験していないものも多いので、ジャンルに関係なく、やりたい作品があったら何でもやります」と語った。


 どんなキャラクターを演じたいかと尋ねると、「悪役もやりたいです。人間っていろんな性格を持っていると思います。ファン・ジョンミンさんみたいに作品によってキャラクターが、がらっと違う役が演じられたら。人間の両面性を表現する役をやりたいと思いますが、まだ勉強不足。今は無理ですが、ぜひいつかやりたいです」と意欲を見せた。

 何でも貪欲に吸収し、1作ごとに、1日ごとに成長している感のあるキム・ボム。理想を掲げるだけでなく、現実もしっかり見ている。そんな彼に、俳優としての伸びしろの大きさを感じた。

 格闘技K-1の世界を舞台に、それぞれに挫折や痛みを抱えたスポーツエージェントのナム・ジェイル(チュ・ジンモ)とスリの前科を持つ少年院帰りのイ・ジャンソク(キム・ボム)が、名トレーナとその娘ソヨン(ソン・ダムビ)らの力も得て、チャンピオンになるという「夢」に向かって繰り広げられる愛と成長のハートフルなドラマ『MY DREAM』。

 CS放送のアジアドラマチックTV★So-netにて12月19日より日本初放送。毎週土・日曜午前8時30分、午後11時に放送される。

東京=野崎友子通信員

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