キムチとワタリガニを煮込んだ郷土料理に舌鼓 /泰安


 忠清南道泰安郡泰安邑にある「全州栄養石焼きご飯」のオーナー、コ・スノクさんがこの地方に伝わる「ケグッチ」の作り方とその味を説明した。ケグッチは、ワタリガニのしょう油漬けの汁に漬けたハクサイをキムチチゲのように煮込んで食べる、忠清南道の海岸地域の郷土料理だ。辛さはないがやや酸味があり、後味がさっぱりしている。泰安と瑞山の一部地域を除けば、こんな料理は聞いたことがない、という人がほとんど。ソウルより狭い泰安郡(505平方キロ)内でも、地域によって違うということだ。

 ケグッチとは一体どんな料理なのだろうか。先月20日、泰安郡の農業技術センターは、40人を超える主婦でにぎわった。富川生活改善会所属の主婦たちがケグッチの作り方を習いに来たのだ。講師は郷土料理店「コムソムナル」代表のチョン・スッキさん。同店は泰安郡南面シンオン村の農家4世帯が共同で運営している食堂で、チョンさんが代表を務めている。


 チョンさんが予め漬けておいたハクサイを皆に分けた。「キムチを漬けるようときのように、塩に4-8時間漬けたハクサイ。ハクサイ3株にワタリガニのしょうゆ漬けの汁を1リットル加える。粉唐辛子は好みに合わせて少しだけ入れるように。唐辛子は最後に、まだ真っ赤になっていないものをスリコギで粗く叩いてから入れる。カニはワタリガニやズワイガニのほか、小ガニも使用。そのほか、イイダコやテナガダコを入れるときもある。わたしの母は、これらの材料を臼で軽くついてから使っていた」

 一見、海産物をたっぷり入れて漬けたキムチのように見える。川エビの捕れる時期には川エビを、コウライエビの季節にはコウライエビも使う。つぶしたニンニク、長ネギ、タマネギも入れる。汁がたっぷりなのがキムチと違う点だ。しばらく具をかき混ぜていたチョンさんが味見をし、「味が薄ければ塩辛で塩加減を調節する」と説明した。


 どれくらい熟成させるかはそれぞれの好みによる。チョンさんの店では3年間漬けたケグッチをチゲにしたメニューもある。砂糖を入れたのではないかと思うほど甘いが、これはすべてカニから出た甘さだという。この店では「ケグッチは3年間は漬け込まないと本当の味が出ない」と断言する。しかし、コ・スノクさんはこれとはまったく違う意見だ。「作り立てが1番美味しい。長い間漬けておくと(ハクサイが)硬くなってしまって食べにくい。作った翌日に食べるのが1番。カタクチイワシの塩辛を使うとさっぱりして美味しい。イカナゴの塩辛は後味がよくない」

 「家で作るときはコメのとぎ汁を少し加え、キムチチゲを作るときより水をたっぷり入れて作るように。貝があったら、一緒に入れるとスープがもっと美味しくなる」(チョン・スッキ)

 作り立てのケグッチをビニール袋に入れる生活改善会メンバーの主婦たちは、みんなうれしそうな表情だ。「これで今夜のおかずは心配ない」という顔だった。

キム・ソンユン記者
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