映画界も同様だ。ほぼ同じやり方で「けんか自慢」が盛んに行われている。17日に行われた映画『女優たち』の制作発表会では、トップ女優コ・ヒョンジョンとチェ・ジウが撮影中に実際にけんかし、それが収録されたという話が飛び出し、一気にその日の注目ニュースになった。毒々しい視線で男性を震え上がらせた「ミシル」(人気時代劇『善徳女王』でコ・ヒョンジョンが演じた役)の攻撃を、「ジウ姫」がどのように堪え忍んだのか気になったら、映画を見るしかない。この日、コ・ヒョンジョンはニヤリと不気味な笑みを浮かべ、こう言った。「身長も同じくらいだし、けんかのしがいがあるわ」。
生きていれば、多少のけんかに巻き込まれることもある。つらいし、うんざりもするが、それもまた人生の代償の一つだから、避けて通るわけにもいかない。だが、癒しやホッとした気持ちになりたくて見るテレビや映画でも、生々しいけんかを見せられる現実は情けない。しかも、今は「バーチャル(仮想)」を通り越し、「リアル(現実)」になってしまっているではないか。さらにあきれたことには、物理的な暴力まで借り出され、夫婦げんかすら後ろ暗さや恥ずかしさがない行為のようにPRされ、批判の声も上がらない。まったく、わたしたちは精神分裂的な社会で生きているのだろうか。
もう一つ、うやむやにできないのは、「本当に彼らはけんかしたのだろうか」という疑問だ。一時期、複数のリアリティー番組で流行した戦略もこのようなものだった。
予告で出演者たちが激しく言い争うシーンを放映し、視聴者の気を引いた後、本編では別の出演者をだますために撮影した「どっきりカメラだった」と種明かしし、手を取り合って笑っていたこともある。コ・ヒョンジョンも、チェ・ジウも、パク・ジェフン夫妻も、もしかしたら視聴者を相手に今、「どっきりカメラ」を撮影しているところなのかもしれない。ひどく過激なやり方で。