ミシルの衣装に見る栄枯盛衰=『善徳女王』(下)

ミシルの権力と装身具の数、華やかさは比例


 画面一杯にクローズアップされたミシルの顔に輝く装身具も関心の的だった。イヤリングやかんざしなどのアクセサリーはすべて、金ではなく銀だった。銀色の装身具と紫系の衣装が、ミシルを象徴する基本的なファッションコンセプトだった。銀はミシルの冷たく冷静な性格を象徴したもの。また、金色の装身具を主に使用する王族たちとミシルを差別化する効果も与えた。

 そんなミシルだが、便殿(王が起居した宮殿)に入る瞬間には、銀の装身具に一部金を交ぜた。 徳曼(イ・ヨウォン)や金春秋(ユ・スンホ)を敵視し、最高権力の下にとどまることに満足せず、自ら女王の座を狙う欲求を反映している。

 ミシルの乱を起こし、王座に就いた時は、最も多くの華やかな装身具がミシルの髪を飾った。

権力を手に入れた後、ミシルの冠は鳳凰(王の象徴)の形に


 ミシルが最初にかぶった冠は、当時の一般的なものだった。その代わり、ミシルはほかの人とは違い、冠にユラユラ揺れる飾りを散りばめた。ミシルが体を動かすたびにこの飾りが揺れ、ミシルの無表情さとのコントラストを際立たせた。

 ミシルの権力が強くなるに従って、この一般的な冠の形が鳳凰の形に変化する。前からは見分けにくいが、横から見ると、鳳凰の姿がはっきりと浮かび上がる。これは、実現することはできなかったが、王になることを願ったミシルの気持ちが込められているといえる。 徳曼を追い出し、便殿に入るシーンでも、死を迎える最期の瞬間も、ミシルはこの鳳凰の冠をかぶっていた。


 なぜ鳳凰なのか。朝鮮時代に王を象徴するのは竜だったが、三国時代は鳥を神聖視したため、鳳凰などがその役割を果たしたといえる。ドラマ『善徳女王』のほか、過去に放送されたドラマ『朱蒙』でも、王室では鳳凰が頻繁に登場する。

 ヘアスタイルもミシルの権力との相関関係を持つ。外出など特殊な状況によって簡素化されたこともあったが、基本的に権力が強くなるにつれ、ミシルのかつらや飾りは徐々に大きくなっていった。

パク・ヒョンミン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース