このようにペ・ヨンジュンは面白さや重厚さを兼ね備えた人だった。
彼のプライベートも性格通りだった。ペ・ヨンジュンが公開した1日の日課はこうだ。
まず朝起きて、窓の外を眺めながら軽くお茶を1杯飲む。そして家で1時間ほど運動して、シャワーを浴びた後、読書。陶磁器を作ることもある。普段からワインが好きなので、1日2本集めていたらたまったワインボックスを利用し、最近では素敵なハンドメイドの本棚も一つ作り、リビングに置いたという。本棚の向かいには、最近韓国文化に関する本を書きながら学んだ、ろくろや漆塗りの作業台などが置かれている。本を読んだり、陶磁器を作ったり、人を呼んでお茶を飲みながらおしゃべりをする。
一見、草だけ食べて生きているようなナヨナヨした感じで、恋愛よりは自分の趣味や関心のある分野にだけ熱中する“草食男子”のようでもある。某記者は、このようなペ・ヨンジュンの人生に「テレビマンション広告にでも出てくる話ではなかったか」と不思議そうに笑ったりした。トップスター、ペ・ヨンジュンの人生はこのように素朴ながらもそれなりの風情があった。
ペ・ヨンジュンは守れることだけ口にする、ということも今回の日本取材で新たに分かった。いくら急な状況でも、考えもなしに発言したりしない。インタビュー前のイベントで、韓国観光公社の李参(イ・チャム)社長が来年行われる世界飲食文化祭りにも一緒に参加しようと突然のオファーをした際、ペ・ヨンジュンが見せた反応がそのいい例だ。彼はイベントの趣旨には共感しながらも、結局返事をしなかった。
多くの人々が怪しがっていたペ・ヨンジュンの作家活動も、同じ理論で解いてみれば理解しやすい。昨年10月、ペ・ヨンジュンは忠北清州で行われた「2008文化の日」イベントで花冠文化勲章を授与され、「全世界に韓国をアピールする橋渡しの役割を果たしたい」と公言した。その約束を1年後、本として実現したのだ。
ペ・ヨンジュンとファンの厚い信頼もそんな中生まれた。
実はペ・ヨンジュンが東京ドームで、それも2度にわたってイベントを開催すると言った時、初めは半信半疑だった。彼が韓流ブームを巻き起こした作品で、もう一度日本を訪れるというが7年の歳月が流れていた。またもう一つのイベントは、最近発売されたフォト&旅行エッセー『韓国の美をたどる旅』関連で、韓国人でさえ難しいと感じる話に、外国人が果たしてどれぐらい反応してくれるのか分からなかったからだ。
しかし東京ドームに集まった10万人の日本ファンは、7年ぶりにアニメで再び目にした『冬のソナタ』に歓声を上げた。韓国人たちもそれ以上にペ・ヨンジュンを通じて聞く韓国の話に、温かい関心を示した。
日本で彼と会うまでは、このような爆発的な関心が疑問だった。しかし、今は分かる。日本ファンや彼の本に出てくる職人たちがなぜペ・ヨンジュンを好きになり、口を揃えて彼の真心を褒めるのか。
多少遅い気もするが、今からでもペ・ヨンジュンに関するエピソードを話すのは、彼の真価をより多くの人に知ってもらいたいという願いからだ。俳優ではなく、人間ペ・ヨンジュンの一面は新鮮だったし、なかなか見られないので、より長い余韻や名残惜しさを残した。