日本での韓流スター、ペ・ヨンジュンの人気は、これまで多くのメディアを通じて報じられたため、特に目新しいものはないかもしれない。
しかし、ペ・ヨンジュンに関する本当の話はこれからが始まりだ。まだ知られていないペ・ヨンジュンの真価を確認したのは、ペ・ヨンジュンとのインタビューでのことだった。予定にないことだっただけに、形式的でもなかった。スターではなく、人間ペ・ヨンジュンがベールを脱ぎ、本当の姿が浮き彫りになった。
インタビューは9月30日午後、東京ドームで行われたペ・ヨンジュンのフォト&旅行エッセー『韓国の美をたどる旅』出版記念会の直後、控え室で実現した。ペ・ヨンジュンはインタビューするのが難しい芸能人として有名。そんなペ・ヨンジュンが驚くべきことに、韓国の取材陣とのインタビューを自ら申し出たのだ。それだけでも十分に興奮した。ところがそうした緊張が、およそ1時間30分も続いた。
インタビューはスムーズに行われた。その間、ペ・ヨンジュンに対する偏見も一つずつ崩れていった。誰がペ・ヨンジュンを完ぺきで真摯(しんし)だと言ったのか。一見、合っているようにも思える。しかしペ・ヨンジュンは、人を喜ばせる力も持っていた。そして礼儀のない人には「丁重に」一撃を与えることもできる。姿勢は低く、プライドは高く。利口で賢明だった。話術に長けている、ということも初めて分かった。
ある程度インタビューが進んでからのことだった。所属事務所BOFのマネージャーは、予想以上にインタビューが長くなると、「次のスケジュールがあるため、インタビューはこのくらいで」と、記者たちに了解を求めた。しかしペ・ヨンジュンは、「まだ大丈夫。実は次のスケジュールはない」と語った。続けて「わたしの体調が良くないため、早く休むよう配慮してくれてのことだが、この場が楽しい。たくさん質問してほしい」と記者をあおった。自分のために善意のうそをついたマネージャーや、他国まで取材に来た記者たちに気を遣うという、機転が発揮された瞬間だった。
ペ・ヨンジュンは、結婚などプライベートな質問にもはばかることなく答えた。「結婚は昨年からしたいと思っていたが、正直に言って、機会がない」と話したかと思えば、「本を書き、イ・ヒョジェさんに暮らしを学びながら、後々愛されるだろうと思っていたが、周りからは、“イ・ヒョジェさんに学ぶぐらいの男だと疲れる”と、女性たちが嫌がるだろうと言われた」と笑った。「結婚はしていないが、結婚した知人にアドバイスをすることもある」とも。会社のスタッフのうち既婚者には、いくら急用ができても、夜9時以降は電話しない、ということも、現場にいたマネージャーたちの口を通じて聞くことができた。
ペ・ヨンジュンの人間的な姿は、インタビューの間中、ずっと輝きを放っていた。実はファンを「家族」と呼び、どんな状況でも笑顔を絶やさないペ・ヨンジュンを見ながら、トップスターの営業行為だろうと思っていた。しかし、ペ・ヨンジュンはインタビューの際も、記者一人一人ときちんと目を合わせようと努めていた。約1年ぶりに再会したある記者には、「この前黄色い服を着ていたけど、黄色が特に好きなの?」と質問をしていたほどだ。人に対するペ・ヨンジュンの関心の度合いを垣間見る一幕だった。
また、「所属事務所のスタッフたちからどんな人と思われてるか」という質問にも比較的正直だった。「恐いけれど信頼できる人」がその答えだった。ペ・ヨンジュンは「わたしは言いたいことがあれば、心の中にしまわないで、その都度話すタイプ。人は誰でも間違うことがあるが、同じミスを繰り返すとものすごく怒る」と、信じがたい事実も打ち明けた。
まっすぐで深い印象を残したぺ・ヨンジュン。溢れる富に人気まで、世の中の人々が欲しがるすべてのものを持っているペ・ヨンジュンにも、足りないものや必要なものがあるのか。ぺ・ヨンジュンは「足りないのは自由。必要なものは妻」と笑いながら、「多くのものを持っているからと言って、必ずしも幸せではない」と皮肉った。そして、「わたしは最近、捨てながら生きる練習をしている」とも。人生で足りないものがあれば、一つずつ満たしていく喜びがその分だけ増えるのではないか、と語った。