秋が深まると、映画『菊花の香り~世界でいちばん愛されたひと~』でヒロインを演じたチャン・ジニョンさんの残り香がさらに深まるようで、懐かしさが増すばかりだ。ゆりかごの中の天使のようだった生後3カ月の姿から、今年9月に胃がんで天に召される直前の最も美しかった姿まで、花火のように散ったチャンさんの人生を写真で振り返ってみた。二人姉妹の二女で、全州市生まれのチャンさんは、小さいころからひときわはっきりした目鼻立ちで、周囲の注目を集めていた。末娘を特にかわいがったチャンさんの父は、満1歳の記念写真も、黄色の高級なワンピースを着せて撮影し、カラー写真で残した。
幼稚園のころはお絵かきの時間が大好きで、駆けっこもクラスで一番だった。赤が好きで、赤いワンピースに赤いカバン、赤い水着など、赤い色を身に着けた写真が多い。花の中でも赤いバラが一番好きで、結婚式の時も白いアジサイではなく赤いバラの束を抱え、夫の胸に抱かれたという。学生時代のあだ名は「中央女子高の黒バラ」だったとか。中学・高校と進学するにつれ、おてんばだった性格は物静かで女性らしくなっていったが、どこへ行ってもその美しい顔立ちで注目を浴びた。だから高校時代、真っ黒な肌に華やかな容姿から、教師や生徒たちに「黒バラ」と呼ばれたそうだ。学校の成績も素晴らしく、成績優秀者としてよく廊下に名前が張り出されたという。