インタビュー:在韓日本大使館谷川仁彦

「日韓両国の文化交流、市民交流がいかに重要かということは、いくらお話ししても、決して言いすぎとは言えません」


 9月20日、ソウル市庁前のソウル広場に数万人もの日本人と韓国人たちが集まり、「2009日韓交流おまつり」が開催された。過去4回はソウルだけで行われてきた「日韓交流おまつり」が、今年は初めて東京でも開催され、より意義深いものとなったが、これを実現するため、在韓日本大使館で観光・交通分野を担当する谷川仁彦一等書記官は、多忙な1カ月を送ることを余儀なくされた。そんな中、わずかな合間を縫って、記者のインタビューに応じてくれた。


-具体的に、どのようなお仕事をされていますか。

 「現在、在韓日本大使館の経済部に所属しています。観光・交通分野を担当していますが、韓国と日本の政府レベルの協力会議に関する業務が中心です。とりわけ、観光分野は両国にとって大変重要な分野で、両国を訪問する外国人観光客数に占める割合も最も多いため、特に細心の注意を払い、関心を寄せていかなければならない分野といえます」


-韓国へはいつ来られましたか。また、韓国へ来る前と来た後では、どのような部分で考えが変わりましたか。

 「2007年6月、初めて韓国へ来ました。以前から韓国は日本から最も近く、親近感のある国でした。しかし、来る前には韓国人がせっかちなことも知らず、楽天的でポジティブな態度を見せることもまったく知りませんでした。もちろん、今ではすっかり慣れました」


-韓国に関して印象的なことは何ですか。また、日本と韓国の違いは何だと思いますか。

 「多くの韓国人たちは情熱的で感情的だという点をまず感じました。また、何かプロジェクトを進めようとするとき、とても臨機応変に対応するとともに、短い時間で成果を上げようとする傾向があります。また、最初のうちは何もしないかのように見えても、最後にはとてもねばり強い姿勢で満足の行く成果を上げます。最後まであきらめない根性には驚
くばかりです(笑)。それに対し、日本人は何かを任されたとき、相当前から用意周到に計画をたてるなど、とても緻密(ちみつ)に準備をします。理性的で冷静だといえるでしょうか。そしてプロセス一つ一つも大事にしつつ、結果を導き出すという点で、結果を重視する韓国人とはかなり違うように思います」

-韓国には日本人がとても多く、日本にもまた韓国人がとても多いと聞いています。互いの交流が活発になるために必要なことは何だと思いますか。

 「基本的に、どんなことであれ、“楽しく交流する”ことが大事だと思います。また、互いの違いを受け入れて、それを楽しむことが肝要です。これからも新たな観光商品が登場し、互いの文化を体験できる機会が多くなることを望んでいます。そのほか、韓国では現在も、宿泊施設の種類が少なく、数もまだまだ足りない状況です。この点が十分に改善されればと思います。特に、韓屋(韓国の伝統家屋)を体験できる機会が増えれば、より有意義な旅行を楽しめるようになると思います」


-11月になれば、韓国はすっかり秋らしくなりますが、日本人にぜひとも勧めたいと思うものは何ですか。

 「韓国の秋は旅行に適したシーズンです。空気がさわやかで、紅葉もきれいです。11月が過ぎ、寒い冬がやって来ても、心配することはありません。韓国伝統の床暖房・オンドルは冬でもとても暖かく、ぜひ一度体験してみることをお勧めします。きっと、とても貴重な経験になることでしょう」


-韓国へ初めて来た日本の友人に、どんなところを紹介したいと思いますか。

 「たぶん、わたしが勤務している市庁周辺から三清洞までの散策を勧めると思います。韓国のさまざまな歴史や文化を肌で感じることができますし、またすばらしい景色を満喫して、とても爽快な気分になれるでしょう。また、5000ウォン程度で食事ができるリーズナブルな飲食店もおすすめです。日本で有名な「焼肉」のような高い肉料理もいいですが、スンドゥブチゲ(豆腐鍋)など、一般市民が普段食べている食べ物の方がもっとおいしいと思います」


-谷川さんにとっての「韓国人像」はどんなものですか。

 「韓国人たちは、とても情に厚いです。一言一言が心からにじみ出てくるように思います。飾り気というものがほとんどないと言えるでしょうか。とても率直で直截(ちょくせつ)的です。また、ちょっとした失敗を大目に見てくれる傾向があります」



「大阪のおばちゃん」の心遣いがあふれた店・居酒屋「とんあり」(市庁前)
 初めて韓国へ来てから20年ほどになるという松本ひとみさん。ほのぼのとして情に厚く、一目見た印象は韓国の「アジュンマ」(おばさん)そのものという感じだ。かつて、韓国についてほとんど関心がなかった松本さんは、長い間勤めた会社を辞めて、2泊3日の日程でたまたま韓国を訪れ、「韓国民俗村」へ行った際、言葉では言い表せないほどの運命的な感覚を覚えたという。その地の深い森と、竹の物静かな香りを目の当たりにして、「ここが自分の住むべき場所だ」と感じたというわけだ。そして2002 年、延世大韓国語学堂に入学し、本格的な韓国での生活を始めた。そして、もっと長く韓国にいたいという思いから、03年に開いたのが、まさに「とんあり」だった。


とんあり

 「大阪の家庭料理」をうたい文句にしているこの店は、本格的な大阪式のお好み焼きで有名だ。韓国と共通点が多い大阪出身の松本さんが経営し、「韓国の中の大阪」という雰囲気があるからだろうか。同じ大阪出身の谷川一等書記官もこの店の常連になった。いつも明るい笑顔で接してくれる松本さんに、懐かしい故郷の趣を感じるという。メニューは数十種類に上る。これを本当に全部準備できるのか、と疑問に思えるほど多様なメニューにはまた、真心がこもっている。

日本酒・ビール・焼酎・梅酒などの酒類に、肉類・海鮮などの焼き物、セットメニュー、刺し身、一品料理、天ぷらなどといったメニューを見ると、まさに何を食べたらいいか迷うほどだ。親切さとおいしさを基本理念とし、スタッフが全員日本語を話せるということを売りにしているため、いつしかソウルに住む日本人だけでなく、日本人観光客にも人気のスポットとなった。ちなみに、店名の「とんあり」とは、韓国語で「仲間」という意味だ。松本さんは韓国と日本が一つになってほしいという思いから、この名を付けたという。

■開館案内

*アクセス: 地下鉄1・2号線市庁駅下車。6番出口方面へ向かい、ソウル・プラザホテル前の地下道を通り抜け、出口を出て左側。
*住所: ソウル市中区乙支路1街192-11 乙支路才能教育ビル1階
*Tel: 82-2-3789-4919
*営業時間: ランチ:11時30分-14時, ディナー:17時-22時30分
*定休日:日曜日

記事=オ・スンヘ, 写真=チェ・ヨンデ

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