10月下旬、山頂を包む秋の気配が、木の葉を美しく紅葉させている。全国の紅葉の名所のうち最も美しいといわれるのが、慶尚北道。ここの紅葉は赤だけではなく、「五色」に山を染めることで知られている。その独特な色は、見た人すべてを魅了するほどの美しさだ。清涼山、周王山、八公山、 鳳凰山など、慶尚北道地方にはあちこちに紅葉の美しい名山がある。特に八公山には、大学入試を前に、合格祈願を兼ねて、紅葉狩りに訪れる登山客が多い。慶尚北道の魅力を満喫できる、晩秋の紅葉の名所を紹介する。
(1)周王山(青松郡)
奇岩怪石の間を赤く染める周王山の紅葉の美しさは雪岳山にも負けないほどで、紅葉の季節になると、多くの人が訪れる。
周王山は新羅末、「周王が身を隠していた山」ということから、「周王山」と呼ばれるようになった。太白山脈の山すそに位置し、慶尚北道清松郡と盈徳郡にかけて広がっている。山の景観が美しく、特に紅葉は奇岩怪石と見事に調和し、1976年に国立公園に指定された名山だ。
中でも、映画『春夏秋冬そして春』のロケ地として注目を集めた注山池は、最高の霧と紅葉が撮影できるスポットとして有名。今ごろの時期は、午前6時30分から8時ごろにかけて霧がかかる。絶好の撮影ポイントをゲットしたいなら、朝早く訪れるのがいいだろう。
清松は水が美味しいところだ。タルギ薬水(飲めば薬になるといわれる泉の水)で煮た鶏の水炊きや山菜のナムルをふんだんにに使ったビビンバも美味。
(2)浮石寺(栄州市)
太白山と小白山に分かれる 鳳凰山の山すそに、大きな寺がある。義湘大師が676年、王の命令に従って建てた韓国の5大名寺の一つ、浮石寺だ。ここは韓国の華厳宗の本寺で、最も美しい木造の無量寿殿が保存されている。
浮石寺が最も美しいのは秋。秋が深まると、寺の入り口の道の両側を黄色い銀杏の木が飾る。「この国で一番美しい寺」「嶺南最高の思索の道」と呼ばれるのは、この並木道のためだ。
魅力満点のドライブコースを経て、浮石寺のチケット売り場を過ぎると、これまでとは違った印象の道に出る。この道は、うら寂しい山寺の情緒に溢れている。寺へと続く上り坂では、風が吹くたびに黄色い銀杏の葉が花びらのように宙を舞う。浮石寺の夕日は特に美しい。