■古書の中の名マッコリ、続々発見
マッコリは一過的な流行というレベルを超え、ウイスキーのように息の長い名酒になれるのか。業界では、長期的にマッコリの人気を保つためには「高級化」が必要だ、という意見が多い。実際に、ソウルのロッテホテルでは、マッコリに対する「安い庶民の酒」という認識とは裏腹に、2万-6万ウォン(約1500-4500円)と決して安いとは言えない価格で販売しているが、予想以上によく売れているという。ロッテホテルのナム・ジェソブ広報チーム長は、「マッコリ用の器を特注し、つまみも研究するなど、高級化に力を入れている」と話す。
単純に値段を高くするだけではいけない、という指摘もある。 ペ・サンミョン酒家のシン・ユホ理事は、「フランスの皇后が夢中になったワインや、英国の女王から認証を得たウイスキーのように、マッコリにも韓国的な“物語”を加味する必要がある」と話す。
このような側面で、麹醇堂の伝統酒復元プロジェクトは注目の試みといえる。麹醇堂は朝鮮時代初期の料理本『需雲雜方』を基に、3年間にわたる研究の末、高麗時代の貴族が飲んだ高級濁り酒「梨花酒」を完ぺきに復元することに成功した。強飯から作る一般のマッコリとは違い、もちを使って作るのが特徴だ。
「梨花酒」という名称は、梨の花のように白いという意味と、梨の花が咲くころに作られたという由来から名付けられた。歴史は高麗時代にまでさかのぼるが、『翰林別曲』に「梨花酒を器一杯飲んだ」という一節があるほか、中国・宋の『高麗図経』に出てくる酒も梨花酒だという解釈が有力だ。
「梨花酒」はヨーグルトのように濃厚で、実際にスプーンですくって食べたという記録もある。酸味があり、ねっとりしているが、ベルベットのように滑らかで柔らかい舌触りだという。このほか、昔から伝わるフルーツ・マッコリの復元作業も進められている。
「コメ・ヤマブドウ・マッコリ」は、糖度の低いヤマブドウの短所を、コメの甘さで補った韓国版ワイン。これも古書を基に復元されたものだ。麹醇堂は今後も、古書に登場するマッコリを次々と復元していく計画だ。
このような試みが花を咲かせ、マッコリはワインのように多くの種類と物語を持つ「文化の酒」になることができるのか。世界の名酒を夢見る「現代版マッコリ」の挑戦は今まさに始まったばかりだ。