今まさに「マッコリ・ルネサンス」を迎えている。マッコリ(韓国の濁り酒)は1980年代まで、年間142万キロリットルが消費される「国民的な酒」だった。しかし、ソウル・オリンピックを機に始まった世界化の波とカーバイド(熟成・発酵のための添加物)問題などにより、ビールやウイスキーなどが主流となり、マッコリは下流階層の飲む安い酒へと転落した。消費量も1990年は70万キロリットル、2002年には12万9000キロリットルにまで減った。
そんなマッコリが2000年代後半に入り、ウェルビーイングと復古ブームの波に乗って再び人気を博している。昨年は17万5000キロリットルが売れ、今年は20万キロリットルを超える見通しだ。型崩れしたヤカン入りの「庶民の酒」だったマッコリ。それが今では、現代的な感覚のフルーツ・マッコリや高麗時代の貴族が飲んでいたものを完ぺきに復元したマッコリなど、ワンランクアップした「現代風マッコリ」が相次いで登場し、ワインやウイスキー、日本酒など、外国の高級酒と肩を並べるようになった。
■女心をつかんだフルーツ・マッコリ
マッコリ・ブームに拍車をかけたのはフルーツ・マッコリ。これの登場により、マッコリは「やぼったい酒」から「おしゃれな酒」に格上げされ、女性をマッコリの消費層に引き込み、アルコール市場全体を拡大したとされている。普通の白いマッコリの主な消費層は男性で、女性は10%程度にしかならないが、フルーツ・マッコリの消費層は女性が30%以上を占める、というのが酒類業界の分析だ。
Eマートが今年4月に発売したトックリイチゴ、桑の実、梅、ナシ、ブドウなどを使ったフルーツ・マッコリは、販売開始から1カ月もたたないうちに10万本以上が売れ、マッコリの売り上げ全体の30%を占めた。ロッテマートでも、ナシやトックリイチゴなどを使った数種類のフルーツ・マッコリを発売している。さらに新村や狸鴎亭洞などソウルの繁華街を中心に、マッコリ・カクテル専門店も続々とオープンした。これらの店でカクテル・マッコリを注文するのは、ほとんどが女性だという。最近はマッコリ・シャーベット、マッコリ・アイスクリームまで登場している。
■アルコールを除けば栄養剤
ヘルシーな点もマッコリの人気の一つだ。盆唐ソウル大学病院消化器内科のイ・ドンホ教授は、「マッコリはアルコール成分を除けば栄養剤を飲んでいるようなもの。マッコリの成分は水が80%。そのほかはアルコール6-7%、たんぱく質2%、炭水化物0.8%、脂肪0.1%で、残りの10%には植物繊維、ビタミンB・C、乳酸菌、酵母などが含まれている。専門家は、この10%が「栄養の宝庫」だと説明する。全体の約1~5%に無機質が含まれるワインに比べ、はるかに栄養に富んでいることが分かる。
特に、多量に含まれる植物繊維は、満腹感を与えるが体には吸収されず、すぐに排出され、この過程で大腸の働きを活性化するため、ダイエットや美容にも効果的だ。