「ジューッ!」雨の日はなぜか食べたくなるジョン(下)

どっちが好き?優劣つけがたい永遠のライバル


ジョンVS ピンデトク

 作り方は似ているけれども、味も印象もちょっと違うジョンとピンデトク。二つともちょっとおしゃれに楽しむのもOKだし、手軽にリーズナブルに味わうのもOK。お好みしだいというわけだ。

目で楽しむジョンウリガ サランハヌン ウムシクイエスル

 普段は「ウリガ」と呼ばれている韓国料理屋「ウリガ チュルギヌン ウムシクイエスル(私たちが楽しむ料理の芸術)」はその名前のとおり、個性的な店だ。「料理=芸術」というのがひしひしと実感できる。6月10日に済州島で行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、昼食会の担当もしたことでも有名だ。「自然を皿の上で楽しもう」というコンセプトに基づいて作られるこの店の料理は、まるで1枚の絵を見ているかのように目でも楽しめ、味わってみれば舌も体も喜ぶ。生花を生かしたテーブルセッティングや旬の食材を使ったメニューで、季節ごとに新しい料理が味わえるのもいい。魚介ネギジョン・緑豆ジョン・トウガラシジョンなど、コースメニューの一部にジョンがあるほか、アラカルトでオーダーしてもOK。
 目の前に広がる島山公園は、「ウリガ」で楽しめるもう一つの芸術。ランチのコース料理は3万ウォンから4万5000ウォン、ディナーのコース料理は8万ウォンから15万ウォン台。アラカルトメニューのカルビチム(牛カルビの煮物)やケジャン(たれに漬け込んだワタリガニ)もまた味わい深い。

■開館案内

*アクセス: 島山公園正門、ラルフ・ローレンの隣 所

*住所: ソウル市江南区新沙洞631-33ヒョヨンビルディング2階

*営業時間: ランチ12時-15時、ディナー18時-22時

*Tel: (日本から)+82-2-3442-2288、(韓国内から)02-3442-2288



チャレンジ!ホット&スパイシーなトウガラシジョン作り

 韓国のジョンの中では難易度が「真ん中」くらいのトウガラシジョン。手はそれなりにかかるが、それだけに味も保証つきのトウガラシジョンにチャレンジ!
材料:トウガラシ2本、卵1個、牛ひき肉30グラム、豆腐10グラム、ネギのみじん切り小さじ半分、ニンニクのみじん切り小さじ1/4、塩、コショウ、ゴマ油、小麦粉(チヂミ粉)大さじ1、サラダ油


❶トウガラシはきれいに洗い、半分に切って種を取り除いてから、小麦粉少々を振っておく。
❷牛ひき肉に、くずした豆腐、ネギのみじん切り、ニンニク、塩、コショウ、小麦粉大さじ1を混ぜて練る。
❸トウガラシの中に2を詰め、溶き卵につけてサラダ油を敷いたフライパンで焼く。このとき、トウガラシに詰める材料は少なめにして、フライパンに軽く押しつけながら焼くのがコツ。トウガラシの青い方は焼きすぎない方が色あざやかできれいにできる。



ジョン&ピンデトクと相性バツグンマッコリ

 焼酎やビールもいいが、ジョンやピンデトクには何といってもマッコリがピッタリ。むかしからマッコリはジョンやピンデトクを肴にして庶民に愛されてきた酒だ。この最高の組み合わせ楽しみたいなら、ソウル市鍾路区の仁寺洞(地下鉄3号線安国駅6番出口)へ。仁寺洞ならどの店に入っても、たいていはこの二つを一緒に味わえる。もっといろいろなジョンとマッコリが楽しみたければ、麻浦区の功徳市場(地下鉄5号線孔徳駅5番出口)がオススメ。ここの「麻布元祖おばあちゃんのピンデトク」や「青鶴洞プッチムゲ」には、ビックリするほどいろいろなジョンがある。



盛りだくさん! 情あふれる味スニネ ピンデトク

 韓国のむかしの流行歌に、「ピンデトク紳士」という歌がある。その中に「カネがなければ家に帰って、ピンデトクでも焼いて食べるさ」という歌詞がある。これでも分かるとおり、ピンデトクは本来、庶民の料理だった。簡単な材料で、誰も家で焼いて食べられるのがピンデトクで、料理屋で安いのもピンデトクだった。ソウルでピンデトクの有名店といえばいろいろあるが、中でも歴史が長く、お得意さんの多さを誇るのが、広壮市場にある「スニネ ピンデトク」だ。露店から始めてこれまで14年間、変わらぬ味が自慢。その秘密は、ひきたての緑豆粉と、田舎で漬けたキムチ。食材のよさは基本中の基本。

 そのうえ心がこもっているとくれば、おいしいのは当たり前だ。経営者のチュ・ジョンヒさんは、この一見やさしそうで実は難しい原則を、開業当時からずっと守り続けている。これを一番よく知っているお客さんたちは、取材中も途切れることなく店にやって来て、並んで待ち、お持ち帰りしていく。「スニネ ピンデトク」のメニューは、「緑豆ピンデトク」と「肉団子」の二つだけ。
 4000ウォンもあれば、大人の顔くらいの大きさの緑豆ピンデトクが食べられる。ザク切りキムチ入りの緑豆ピンデトクを食べずにして語るのはNG。肉団子は緑豆が嫌いなお客さんのためにチュさんが開発したメニューで、たったの2000ウォンだ。これに、マッコリやドンドンジュ(こしていないマッコリ)があれば、高級バー顔負けのごちそうが完成。ソウルでも有名な広壮市場にあるので、どこか懐かしく面白さ満点の韓国市場見学もオマケについてくる。






■開館案内

*アクセス: 地下鉄1号線鐘路5街駅8番出口、広壮市場の北2門から入って左側所

*住所: ソウル市鍾路区鍾路138-9

*営業時間: 11時-23時30分

*Tel: (日本から)+82-2-2268-3344、(韓国内から)02-2268-3344




実は栄養も満点!体にいいピンデトク

 緑豆で作ったピンデトクはタンパク質が豊富。肉がたくさん食べられなかったむかしの庶民に人気があったのもそのためだ。漢方で、緑豆は皮膚病の治療や解毒に効果があるということで知られている。また、疲れを取り、食欲増進にもいいそうだ。

どうしてピンデトクというの?

 小麦粉や油が貴重だったむかし、ジョンは祭りなど「晴れ」の日の料理だった。だから、ふだんは小麦粉の代わりに緑豆粉やソバ粉をピンデトクの材料として使っていた。ピンデトクという名前は、「貧しい人、つまり貧者(ピンジャ)が食べるもち(トク)」という言葉に由来するという説がある。むかし、貞洞(ソウル市中区)にはナンキンムシ(ピンデ)が多く、ナンキンムシ村と呼ばれていたが、ここに特に「ピンジャトク」を売る人が多かったので、「ピンデトク」になったという話も。ピンデトクが最初に記録に登場するのは、17世紀の料理本『飮食知味方』だ。「ピンジャボプ」という言葉が初めて登場するのもこの本で、「緑豆を粗くひき、鉄板に油を敷き、熱くなったら少しずつ入れ…」と、ピンデトクについて説明しており、当時のピンデトクが今とほとんど同じことがわかる。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース