食欲を呼び覚まし夏バテを吹き飛ばす味 /全羅道(下)

 扶安郡といえば、ハマグリ、そしてそのハマグリで作ったおかゆが有名だ。おかゆにニンジンやネギのような材料を入れないところが、この店ならではの特徴。ハマグリ特有の味と香りを生かすためだ。15分間煮込んだハマグリがゆに、ゴマと刻みノリだけがのっている。甘くコクがあるが、後味はさっぱりとしている。

 ハマグリがゆ8000ウォン(約600円)。薄味のハマグリ汁(2万ウォン)や辛く味付けした蒸しハマグリ(3万ウォン=約2250円)も美味。

■ケファ会館:扶安郡幸安面新基里211-2


 「ウジン干潟ウナギ」という食堂の看板には、「自然化干潟ウナギ」と書かれている。天然ウナギということは分かるが、「自然化」とは一体どういう意味なのか。「養殖場で約1年育てたウナギを約6カ月間干潟に放流し、エサは与えない」とのことだ。そのため天然ではなく養殖だが、天然に近いという意味の言葉だという。

 注文すると、生きたウナギをテーブルに持ってきて、客の目の前で焼いてくれる。ほとんどのウナギ屋は、予め焼いておいたものを温める程度だが、この店は生のままから焼いてくれる。焼き方も独特だ。まずは表と裏をさっと焼いた後、食べやすい大きさに切ってから一つ一つ立てて並べ、全面を焼く。

 塩焼きだけで、タレでは味付けをしない。しっかり焼いたウナギを、しょうゆ漬けにしたゴマの葉や古漬けのキムチで包んで食べる。別皿に出てくる甘辛い薬味用のタレにショウガを交ぜて食べても美味しい。こんなに新鮮なウナギを炭火ではなく、ガスを利用し鉄板で焼いて食べるのが少々惜しいところだ。

■ウジン干潟ウナギ:コチャン郡コチャン邑ウォルゴク里283-1


 コウイカは西海(黄海)の珍味だ。普通のイカに比べ長細くなく、丸々とだ円形をしているのが特徴で、足も短い。体内に「骨」のような厚く硬い石灰質を持つ。コウイカの「コウ」を甲羅の甲と書くのはこのためだ。肉厚で味もよい。大きなコウイカ1杯の値段は、普通のイカ20杯分に相当する。

 海辺村は石焼きで有名な店。夏はコウイカ、春はイイダコ、秋はウナギ、冬はボラなど、扶安郡辺山半島の沖合いでとれる旬の珍味を石の鉄板で焼く。一番人気のコウイカは1年中食べることができる。昔、オンドル(床暖房)の部屋の床材に使っていた厚い石をガスの火で熱し、甘辛く味付けしたコウイカと野菜をその上にのせて客に出す。身の厚いコウイカはシコシコとした歯ごたえが逸品。石の熱が冷めないため、最後まで温かいまま美味しく食べることができる。

■海辺村:扶安郡辺山面格浦里

キム・ソンユン記者
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