インタビュー:イ・ビョンホン、ハリウッド進出を語る

ハリウッド映画『G.I.ジョー』出演


 「ハリウッド進出成功? まだ分からない。でもワンステップ上がれた」

 「映画に1本出演したからといって、ハリウッド進出が成功したかどうかはまだ分かりません。これからもずっと、ぶつかっていかなければならない。ワンステップ上がれたのだと思っています」

 ハリウッド映画『G.I.ジョー』に出演した俳優イ・ビョンホンは、「デジタル朝鮮日報」のケーブルテレビチャンネル「Business&(ビジネス・アンド)」の番組『カン・インソン・ライブ』に出演、ハリウッド進出について控えめに語った。『G.I.ジョー』で演じたストームシャドーはこれまで演じてきたリアルな役柄とは違う、デフォルメされた漫画的な役だったので、いろいろ心配したそうだ。「広い海で羅針盤のないボートに乗り、『陸はあっちかな』と思いながらこいでいるような感じ」と表現した。

 イ・ビョンホンはほかにもフランス映画『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』に出演、韓国とは違う海外の映画界を経験した。撮影現場では朝6時開始、午後6時終了ということだったが、99%の確率で正確に仕事が終わったという。「どうしてこんなに融通が利かないのかと思ったけれども、俳優も人間だから、撮影以外のスケジュールも取れるよう、時間をくれるということでした」

 昨年、映画『グッド・バッド・ウィアード』でカンヌ映画祭に行った時、ホテルのレストランで偶然、アメリカ人俳優で監督のクリント・イーストウッドの隣のテーブルに座った。近くに行ってあいさつしたいと思ったが、「もしかしたら変なファンだと誤解されてしまうかも」と心配になり、どうしてもあいさつできなかった。そして、クリント・イーストウッドが後ろに写るような位置から写真を撮ったという。「僕もいつかは、ほかの俳優が僕を後ろに入れて写してくれるような俳優になりたいですね」。

 俳優になってから約20年。人気も上がり、キャリアもいろいろ積んだが、それと同時にプレッシャーも多くなった。「俳優は自由なスピリットがあって初めて、それを演技に反映して表現できます。プレッシャーや責任感のほうが、僕が感じる自由よりも大きくなったら、その瞬間から硬直してしまうでしょう。いいことばかりしているのが俳優ではありません。キャリアのためとか、やりたくてやる仕事とかもありますが、道徳的なものに縛られて、閉じこもって生きていたら、小さく、憶病になってしまいます」

 韓流ブームを代表するスター、イ・ビョンホンは、日本へ行ってもプライベートな外出はほとんどできない。ボディーガードが10人は同行しなければならないからだ。日本人ファンの情熱はものすごい。雨の日の早朝、両手にプレゼントを持ち、涙を流しながらホテルの外で待っていたファンもいた。ファンは、イ・ビョンホンが飼っている珍島犬の「ブリッジ」にまでプレゼントを贈ってくれる。

 イ・ビョンホンは韓流スターだが、韓流ブームについて批判的な考えも持っている。「韓流バブルは、質よりも量のほうが優勢になったから生じたのでしょう。アジアの韓流ファンは韓国の悲しいラブストーリーが好き。でも、同じような作品が『雨後の竹の子』式に次々と登場し、これを利用して稼ごうという会社が増えたので、副作用も出てきました」と指摘した。

 「俳優イ・ビョンホン」と「素のイ・ビョンホン」は、「多重人格では? と思うほど違う」そうだ。「俳優としては完ぺき主義者ですが、素のイ・ビョンホンはメチャクチャで、スキも多いし、そそっかしいんですよ。俳優っていうのは、多重人格を楽しむ人々。自分の中にある数多くの性格を一つ一つ引き出し、最大限にするのが俳優の仕事だから」

 自分の演技に満足することはほとんどないが、時々「『どうしてあんな表情が出てきたんだろう。本当によかった』と思うこともあります」と言うイ・ビョンホン。しかし、まだ「イ・ビョンホンの最高傑作はない」とか。「これまで一緒に作品に取り組んできた監督の皆さんには申し訳ないのですが、そういう作品が早く出ればいいと思います。

でも、それで終わりではなくて、僕の映画人生の中で、繰り返しそういうことが起きればもっといいですね」

カン・インソン記者
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