韓国を代表する夏の珍味「冷めん」(中)

2大冷めん、平壌冷めんVS咸興冷めん

 冷めんはさまざま特性で区分されるが、そのうち最もポピュラーなのは平壌冷めんと咸興冷めんによる区分だ。同じ冷めんだが、その違いは案外大きい。

■平壌冷めんの真髄を味わえる店、ポンピヤン


 ソウル人なら誰もが一つや二つ冷めんのおいしい店を挙げることができる。平壌冷めんならどの店も同じようなものと考えがちだが、そうではない。昨年韓国の某紙が平壌冷めんのランク付けをし、堂々の1位に輝いた店が「ポンピヤン」だ。一般人ではなく味の達人が絶賛した店なので、他店とは違う何らかの秘訣があるはず。そして秘訣は「冷めんの達人」にあった。

 ポンピヤンの冷めんの達人は、韓国平壌冷めんの生き証人で、58年間1日も休まず冷めんを作り続けている。その名はキム・テウォンさん。彼の言う平壌冷めん1位の秘訣は意外と単純だった。「新鮮な材料を使うこと。そして1日に必要な分だけそばを挽くこと」。だが、原則だけ守ったからといって58年間のノウハウをまねることが不可能だ。キムさんは20年前、ポンピヤンに1位の座を明け渡した平壌冷めん店「ウレオク」のコック長だったという。彼がもしウレオクに残っていたら、1位はウレオクだったかもしれない。

 ポンピヤンの冷めんは、1万1000ウォン(約825円)という価格はもとより見かけも他店のものとは異なる。真鍮の器に盛られた冷めんの上に、必須アイテムともいわれるゆで卵が載っていない。代わりに薄焼き卵を細切りが載っている。食べ方も違う。まずは麺をほぐし、器に口をつけてスープを味わったあと、麺とキムチ、薄焼き卵の細切り混ぜて食べ、最後に肉を食べるというものだ。そしてもう一つ注意しなければならないことはスープではなく、麺に酢をかけなければならないということだ。また麺をはさみで切るのは禁物だ。そば粉の冷めんは絶対に飽きないとのことだ。そばの香ばしい香りを感じるために、はさみは一切使わない。

 マネージャーの言葉に従って冷めんを食べたところ、他店の冷めんとははっきりと違っていた。香ばしいそばの香りは絶品だ。化学調味料を一切使っていないため食べたあとにさわやかな味が残る。材料として使われる牛肉も100%韓牛。刺激的な味がまったく感じられないため、初めての人はやや物足りない感じがするかもしれない。しかし1度食べれば必ず食べたくなる味、古い友人のような味が平壌冷めんの特徴だ。そしてもう一つ。ポンピヤンの冷めんは同店のオリジナルメニュー「トトペン焼き肉(1万9000ウォン=約1400円」と食べるとさらにおいしく味わえる。

■平壌冷めん

 平壌冷めんはその名のとおり、平壌地方の郷土料理で、特徴は麺の主材料がそば粉だという点だ。そば粉の特性上、麺が荒く、切れやすいためビビン冷めんよりもムル冷めんが発達した。スープは主に牛肉がだしに使われるが、伝統的にはきじ肉をゆでて冷まし、油を切って味付けされたものが使用されたりもした。現在は店によって違い、牛の胸肉、豚肉をだしに使うこともある。地理的には平壌のほうが咸興よりも近いため。ソウルでは平壌冷めんの店のほう多く、有名だ。平壌冷めんの特徴は、あっさりとしたスープとそばの香りがする麺だ。そばの収穫直後が旬だが、北朝鮮では冬の料理であり、現在では四季を問わずに食べられている。

■平壌冷めんの材料、そば粉

 気を沈め安定させる効果があるそばは、カロリーが低く、ダイエット食品としても好評だ。そのためか「そばダイエット」というダイエット法があるほどだ。肌の老廃物を排出し便秘にも効果があることから、肌をきれいにするともいわれている。

*アクセス:地下鉄5号線芳荑駅4番出口を出て70-80メートル直進

*所在地:ソウル市松坡区芳荑洞205-8

*TEL:02‐415‐5527

*営業時間:7時-21時30分

*定休日:年中無休

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