韓国を代表する夏の珍味「冷めん」(上)

 冷めんは韓国固有の料理で、辞書的には「麺に肉、キムチ、野菜などをのせて冷たいつゆをかけたもの」という意味だ。冷めんを1度も食べたことがない人は韓国人ではないといっても過言ではないというほどの大衆的な麺料理だ。冷めんは、大抵の食堂で扱っているが、真の冷めんを味わうのは容易ではない。いったい冷めんの正体は何なのか、またどのように食べればいいのか、冷めんの謎を解いてみたい。



■冷めんの歴史

 冷めんの起源を知るためには「東国歳時記」「閨壺要覽」といった韓国の一昔前の書籍を調べなれければならない。「東国歳時記」は1849年、朝鮮24代王・憲宗の時代に書かれたもので、それによると「冬の料理で、そばに大根キムチ、白菜キムチ、蒸した豚肉をのせて食べる冷めんがある」とされている。1896年に書かれた「閨壺要覽」でも「麺に薄味のキムチの汁をかけ、よく蒸した豚肉となし、栗、桃を薄く切ってのせ、松の実をふりかけろ」と明記されていることから、朝鮮時代に冷めんを食べ始めたことが分かる。元々は北朝鮮の料理だったが、朝鮮戦争で韓国に移った人々によって食べられ、それが広まった。

■冷めんの種類

 大きくは、スープがあるかないかによって、ムル(水)冷めん、ビビン(混ぜ)冷めんに分けられるとともに、地域的特性によって平壌冷めん、咸興冷めんに分けられる。さらには、麺の材料によってチク(葛)冷めん、ヤーコン冷めん、スープの材料によってヨルム(大根の根)冷めん、メシル(梅)冷めんに細分される。ビビン冷めんと同じスープのない冷めんには、薬味で味付けされた刺身が入ったフェ冷めんがある。

■冷めんの材料

 主材料の麺は、そば粉、でんぷん、葛で作られ、ムル冷めん、ビビン冷めんによって、スープ、コチュジャン(唐辛子味噌)などが加えられる。スープは主に牛肉がだしに使われるが、以前にはきじ肉も使われた。肉のスープの代わりにキムチの一種であるトンチミ(水キムチ)の汁やそれと肉のスープを混ぜ合わせたものが使われたりもする。主に添えられるものは、薄く切ったキュウリやナシ、焼き豚、ゆで卵などだ。

■冷めん、これなしには食べられない

 冷めんを食べる際に必ず必要なものがある。それはからしと酢。これらなしに冷めんを食べることは考えられない。これらは、辛さとすっぱさを加えて食欲を増進させるばかりでなく、医学的に健康を促進させるという効果もある。

 冷めんは冷たい食べ物であるため消化器に負担を掛けやすいが、からしは体を暖かくする成分が含まれており、酢は味覚、栄養、殺菌の効果があるとされている。酸っぱさは疲労を回復させるとともに食欲増進効果があり、でんぷんや肉類を摂取した際に発生する乳酸を分化しエネルギーに転化させる。

 しかも殺菌効果があり夏の食中毒の予防になるため、欠かせないものだ。

記事=イ・ヒョンジュ
写真=キム・ソンア

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