インタビュー:Drunken Tiger「家族のために突っ走る」

27曲入り8thアルバムが人気


 「少し待ってほしい。薬を飲むから」。7月1日、ソウル光化門のカフェに現れたDrunken Tiger(タイガーJK、35)は真っ先に水を飲んだ。脊髄(せきずい)炎のために、今も1日12錠ずつ薬を飲まないといけないそうだ。しかしタイガーJKは、終始明るい笑顔を忘れなかった。一時期、杖をついて歩いていたタイガーJKの足取りは堂々していたし、ぜい肉のない体はがっちりしていた。

 タイガーJKは最近、8thアルバム『Feel gHood Muzik : the 8th wonder』をリリースした。インターネットで音楽を消費するのが主流になった今、2枚のCDに分け、27曲を収録したタイガーJKの新作は「時代錯誤」という印象さえ与える。しかしヒップホップファンなら涙が出るほど値打ちのある曲が多数収められている。

 1枚のCDには自伝的な歌が多い。『Feel gHood Muzik』で、タイガーJKは「正直言うと、僕はまだ調子が悪くて、階段を5段上るだけで息が切れる」と自分の状態を告白。「僕は家族のための男、これしきの病魔なんかやっつけられる強者」と気を引き締める。『おめでとう』は夫人ユン・ミレが長男を産んだとき、病院で気をもみながら歌詞を書いた歌。息子の初めての泣き声も収められている。

 息子の話が出ると、突然携帯電話を差し出した。ぽっちゃりした「健康優良児」が米国のヒップホップグループ「ブラック・アイド・ピーズ」の「Boom Boom Pow」を聞き、拍手してダンスを踊っている動画が保存されている。「パパになると、こうなるみたい。仕方ないよね。うちの息子、すごく大きいでしょ? 元気なのはいいけど、あまりにも力が強くて心配だ。3歳の子どもたちも、うちの息子がたたくと倒れてしまうんだから。この話をしても皆信じないだろうと思い、こうして直接見せて回っている」

 もう1枚のCDには、暗くて衝動的な正統派ヒップホップがズラリ。タイトル曲『モンスター』は圧巻だ。この歌の英語バージョンには、米国ヒップホップ界の伝説的な存在、ラキムがラッパーとして参加した。「ラキムとの共同作業は、ロト(数字選択式宝くじ)に当選したみたいに大きな幸運」というタイガーJKは、「僕の歌を彼に初めて聞かせたとき、まるで歌謡番組『アメリカン・アイドル』に出る気分だった」と語った。クラブ公演を通じて、米国でもかなり知られているタイガーJKは今回のアルバムを通じて、「ヒップホップ韓流」の扉を開けようとしている。タイガーJKのアルバムは米国でもリリースされ、公演も予定されている。しかしタイガーJKは「僕は韓国的なヒップホップを完成したい人間だから、米国活動は究極的な目標ではない」と打ち明けた。

 穏やかな家庭生活が続き、頭の中で明るく愉快な歌しか浮かばないのが悩みだったというタイガーJK。それでタイガーJKが選択した道は、人格を変えること。ニューヨークのハーレムをさすらう米国のラッパーと「仮定」して曲を書いたら、滝のようにインスピレーションが沸いてきたという。

 タイガーJKの今回のアルバムはリリース直後、少女時代のミニアルバムに続いて2位にランクインした。韓国ヒップホップのボスらしく、ファンの反応は熱い。だからこそ、後輩に対する責任感もさらに強まった。「今回、アンダーグラウンドで活動する後輩ラッパーに一人一人連絡し、一緒に作業した。彼らの存在を世間に知らせるパイプ役になりたかったから」と語った。韓国歌謡界は最近、ヒップホップ的要素を積極的に取り入れ、ヒット曲を量産している。しかしDrunken Tiger、Leessang 、Epik Highなど何組かのヒップホップミュージシャンが注目されているだけで、正統派のヒップホップを歌う「ニューフェイス」はなかなか見当たらない。タイガーJKは「奇抜なアイディアや優れたラップの実力を持っているヒップホップミュージシャンたちがある日突然、幼稚園のバスの運転手やガスの配達員に転職してしまうため、胸が痛い」と語った。

チェ・スンヒョン記者
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