大ヒット映画のリメークドラマがイマイチな理由(下)

見覚えのあるストーリーに場面、俳優の演技までが「そっくり」

 視聴者のチェ・ヤンスクさんは、「こんなにモザイクをかけるのなら、なぜ撮影し、放送したのか理解できない」という文章を書き込んだ。このドラマは第1話だけでもモザイク処理された場面が合計2分余り放送され、刃物・バット・割れた瓶・血・入れ墨などがぼかされた。

 『ストライク・ラブ』は、話の面白味そのものが今の視聴者とマッチしなかった、という分析が多い。ドラマ『白い巨塔』の脚本を手掛けたイ・ギウォンは、「テレビでは最近、能動的な女性キャラクターが多いのに、『ストライク・ラブ』ヒロインのオムジは男次第で運命が決まる消極的な人物。ドラマの主な視聴者層が女性という点を考慮すると、こうした部分こそ変えることが必要だった」と語った。

◆映画とドラマの「文法」の違い

 映画とドラマは「文法」が異なる、という点も見逃せない。CJメディアのアン・サンヒ・ドラマ制作課長は、「ゆったり落ち着いて見られる映画とは違い、ドラマの場合、視聴者は少しでも退屈に感じたらチャンネルを変えてしまうため、もっとテンポの速さが必要だ」と指摘した。

 イ・グァンヒ・プロダクションのイ・グァンヒ代表は、「映画は映像美に比重を置き、より衝撃的で露骨な物語を盛り込むことになるが、ドラマは登場人物の率直な話に焦点を合わせるケースが多い。その点、『ストライク・ラブ』や『チング~愛と友情の絆~』を見ると、テレビの属性を考慮した脚色が不足しているようで残念だ」と語った。

◆新しい下絵を描くべき

 一部の専門家は、「リメークの場合、素材と精神だけを引き継ぎ、残りはすべて新しく創作するのが望ましい」とアドバイスする。

 06年に放送されたMBCのドラマ『ファンタスティック・カップル』が代表的な成功例だ。ゴールディ・ホーンとカート・ラッセルが主演したハリウッド映画『潮風のいたずら』(原題『Overboard』)を原作にしているが、慶尚南道南海を背景に、奇抜なせりふで溢れた新感覚のドラマに脚色し、成功を収めた。

 昨年放送されたSBSテレビの『食客』は、むしろドラマに先立って公開された映画『食客』以上に、同名の原作漫画のエピソードを忠実に描き、成功を収めた事例。また作家のイ・ギウォンは、「『白い巨塔』の脚本を書いた当時、(日本のドラマと)同じような場面を書くことになるかと思い、原作小説だけを読んで、テレビ用に制作された日本のドラマは一切見なかった。視聴者に新しい見どころを提供するための原則だった」と語った。

チェ・スンヒョン記者 , ソン・ヘジン記者
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