韓国の美「韓服」のすべて(上)

 どの国にも独特の伝統衣装があるものだ。韓国の「韓服(ハンボク)」はその中でもラインが美しい衣服として知られている。質素なものから宮廷用の華やかなものまで、その範囲や用途は実にさまざま。特別な日でなければ、なかなか着るチャンスがないが、一度着ればとてもステキな気分になれる、そんな韓服について紹介しよう。

韓服の歴史

 はっきりした年代は定かではないが、古朝鮮時代にはすでにクズ(葛)とアサ(麻)で織った生地を使っていたという記録がある。三国時代の「史記」や壁画を見ると、北アジアの騎馬遊牧民族の服装に共通する特徴に気づく。例えば、男女とも「上衣下袴」、つまり男性はパジチョゴリ(民族衣装の上衣とズボン)、女性はチマチョゴリ(民族衣装の上衣とスカート)が原則だった。だが、これは一般的に広まっていた形式ではなかった。こうした基本的な特徴を持った服装は、高麗時代や朝鮮時代を経て、さまざまな変化を遂げながら、朝鮮時代になってようやくだいたいの型が出来上がる。韓服の「袍(ほう=上着)」は男性用ばかりになり女性用が消えた。チョゴリの帯はなくなり、結びひもやボタン代わりの結び目に取って代わり、丈も短くなった。英祖時代(18世紀)を経て、韓服はさらに洗練されていく。色彩が変わったのをはじめ、男性は冠をかぶり、女性はチマの中にペチコートのような下着を着込むようになったため、上衣のチョゴリに比べてふんわりとふくらむようになった。


韓服の特徴

 韓服は直線と曲線が基本の服。また、日本の着物がストンと真っすぐなI字型なのに比べ、韓服はツーピースになっている。上はバストラインを極力抑えているが、胸から下のチマ部分はふっくらと広がっている。「韓服のラインは全体的なバランスが美しい」という言葉はその曲線に由来するものだが、直線と曲線のバランスやハーモニーを指すこともある。

 また、韓服の美しさは色にあるとも言える。配色は韓服の一番重要なコンセプト。その目的や効果に合わせ、2種類以上の色をコーディネートし、秩序や調和を意味する。色合い・明るさ・鮮やかさにより、優雅さや知性、個性も表現できるのだ。例えば、あい色のチマにはあさぎ色や白、深紅のチョゴリがピッタリ。同じように、深紅のチマには薄い緑色や白、またはあい色のチョゴリがよく似合う。ちなみに、紫色のチマには、同系色である薄紫色のチョゴリが、濃い緑色のチマには純白やくすんだ白、同系色の薄緑色のチョゴリがしっくりする。



文=オ・スンヘ

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