2日午後、韓国文化院ハンマダンホールにて、日韓半々の観客による『ノーボーイズ,ノークライ』日韓プレミア試写会が開催され、主演の妻夫木聡とハ・ジョンウが舞台あいさつとティーチインを行った。
両国の言葉が使われている同作。妻夫木は韓国語の発音に苦労したとし、「トン(お金)の発音が難しかった。発音を間違うと、「大」っていう意味になっちゃってヤバいんですよ」などと笑いながら話し、ハ・ジョンウとのコミュニケーションに関して「ずっと通訳に人にいてもらって、くだらないことまで一言一句、通訳してもらって、お互いを知るということをやっていった。撮影以外にも一緒に飲みに行ったりして」と交流を深めたことを語った。
ハ・ジョンウは妻夫木について「いたずら好きでおもしろく、かわいい。わたしの変な冗談も受けてくれる。宿所の近くの焼き鳥の店に、毎日のように行って常連になっていた。自分は酒が強いと思っていたが、(妻夫木は)ものすごく酒が強い」と明かした。
妻夫木は、クランクアップの時は、抱きついて泣きじゃくったという。「現場がみんな仲良く、時間を忘れるぐらい楽しんで撮ったので終わりというのが悲しくて」と語ると、ハ・ジョンウは「(妻夫木が)最後花束をもらって泣き出すのを見て、自分も泣きたかったが、自分はあと1シーン残っていたのでぐっとこらえて我慢した」と笑いながら話した。
『ノーボーイズ,ノークライ』はどんな映画だと思うか、との問いに妻夫木は「何も考えずに見てほしい映画。生きていくだけで幸せなんじゃないか、と思える映画」とし、ハ・ジョンウは「大人のための童話ではないかと思う。大人が忘れかけていた本心、ピュアな気持ちを思い出してほしい」と答えた。
ティーチインで「この作品から得たものは」というテーマでボードに言葉を書いてもらうと、ハ・ジョンウは「チング(友達)」と書き、妻夫木は「めぐりあい」と書いた。
ハ・ジョンウは、「わたしにはこの作品を通して(妻夫木)聡さんのような友達ができた。これまでも日本に来ていたが、これからはわたしの友達、親友のいる日本に行く、と自信を持って言えるようになったのがわたしの大きな宝」と語ると会場からは大きな拍手が起こった。
そして妻夫木は、「ハ・ジョンウさんが一番残ったもの。享はヒョングにめぐりあったことで大きく人生が変わった。自分はハ・ジョンウさんと出会えた。俳優として、人として、本当にいい人に巡り合えた」と語り、互いに確かな友情を築いたことを示し顔を見合わせる二人に、会場はより大きな拍手と歓声の嵐となった。
韓国から古いボートに乗ってやってきた孤独な魂は、日本で絶望に押しつぶされかけていた魂と呼応し合い、短い夏をかけぬけていく。オール新潟ロケで、すべての行動を共にし、映画の「享とヒョング」さながらに仲を深め合った二人が、国境を超えた男同士の絆を切なく熱演した『ノーボーイズ,ノークライ』は8月22日、シネマライズ、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショーされる。
東京=野崎友子通信員