韓国に東海岸時代がやって来た。東海(日本海)沿岸の住民たちの願いだったフェリー「DBSクルーズ・イースタンドリーム号」が力強い汽笛を鳴らし、ついに正式に就航した。今年2月のテスト運航から4カ月目のことだ。同フェリーの就航は、日本とロシアをつなぐ環東海圏海洋シルクロード時代を韓国東海岸が開拓する、という点で意味が大きい。そのほか、江原道の束草港から出発する北東アジア新航路も就航に向け着々と準備が進んでいるなど、東海岸は今、大きな変化を遂げている。
◆東海港からフェリー就航
6月29日、東海港北埠頭(ふとう)の旅客ターミナルに多くの人たちが押し寄せた。
キム・ジンソン道知事をはじめ、観光課物流分野の関係者や住民など約650人は、「東海-日本の境港-ロシアのウラジオストク」を結ぶDBSクルーズフェリー(株)のカーフェリー「イースタンドリーム号」(1万4000トン級)の就航式に参加し、初就航を祝った。
この日出航したイースタンドリーム号は同日、鳥取県境港に到着。来月2日、同県の平井伸治知事など視察団100人余りを乗せ、東海港に戻る予定だ。
DBSクルーズフェリーは今後、イースタンドリーム号を境港に週2便、ウラジオストクに1便、計3便ずつ運航する計画だ。
DBSクルーズフェリーの航路は、日本の西方、北方交易の拡大のため、江原道、鳥取県、ロシアの沿海州など地方自治体レベルで話し合いを始め、2007年12月から外航定期旅客輸送事業を本格的にスタートした。そして08年3月、DBSクルーズフェリーの東海本社が設立され、09年2月に東海-境港間のテスト運航を終えた。
イースタンドリーム号は09年3月、日本のマリックス社から買い入れた1万3000トン級の船舶をリモデリングしたもの。旅客458人、コンテナ130個、車60台を輸送でき、免税店、食堂、バー、シャワールーム、ラウンジなどの施設が整っている。
同船の就航により、5年後には観光客3万5000人、53億ウォン(約3億8000万円)の経済効果が発生する見通しだ。また、貨物運輸や処理に伴う経済効果も50億ウォン(約3億6000万円)に上るとされている。
江原道環東海出張所は「今回の定期航路就航により、東海港がようやく国際港の仲間入りをすることになった。老朽化した海運物流基盤施設を改善し、江原道が北東アジアの海洋物流観光の中心都市になるだろう」とコメントした。
◆束草港はいつ国際港に?
束草港と日本の新潟、中国の琿春、ロシアのザルビノをつなぐ北東アジア新航路も、就航に向け着々と準備が進められている。
江原道は当初、東海港と同時に就航する予定だったが、船を確保することができず、計画は白紙化された。
外航定期旅客運送の免許が取り消された外国の船舶をチャーターする話し合いが進められていたが、取り消されていた免許を相手国が更新したことにより、この計画が突然凍結されたという。北東アジアの新航路を開拓するためにはほかの船をチャーターしなければならないが、まだ具体的に船が見つかっていないとのことだ。
韓国、ロシア、中国、日本が合弁法人を設立し、運営することにしていた北東アジア新航路は、江原道・束草市・汎韓商船が持ち分51%を保有しており、ロシアは17%、中国と日本はそれぞれ16%ずつ投資した。