インタビュー:パク・シフ「演技一筋で、迷ったことはない」


 『イルジメ〔一枝梅〕』『家門の栄光』が好評放送中で、日本でもにわかに次世代韓流スターとして名が上がってきた俳優パク・シフ。7月4日、初の日本ファンミーティング開催のため、日本に到着したばかりのパク・シフに話を聞いた。

―春に『家門の栄光』が終わって「むなしい」とおっしゃっていましたが、振り返って好きなシーン、こだわったシーンを教えてください。

 「ダナの腕をつかんで『あなたが人をどれだけ刺激しているか、わかっているのか』と言うシーンがあるのですが、そのシーンをどのように表現すればいいのか、とても悩みました。作家先生ともいろいろ話しましたが、結局自分にまかされて、あのようになりました。とてもよかった、と監督にも言われましたし、とても好きなシーンです」

―特に苦労したという思い出はありますか。

 「とにかく、寒かったロケですね。冬のロケは寒くて大変だったことが多いのですが、特にダナと一度別れた後、水辺で再会するシーン。ものすごく寒くて、一番苦労したシーンとして心に残っています」



―逆にこれは楽だったな、というシーンはありますか。

 「交通事故の後ですね。意識不明だったので、ただ何もしないで寝てればいいんですから(笑)。いい休息になりました」

―日本は、昨年プライベートで来て以来2度目ですよね。

 「そうです。昨年の春、『イルジメ〔一枝梅〕』の撮影に入る前に来ました。撮影の前にリラックスしたかったので」

―その時は、軽井沢の「星のや」や、伊豆なども行かれたようですが、ご自分で行き先は決められたのですか。

 「温泉、旅館が好きで、そういうところに泊まりたかったんです。『星のや』は予約をして行ったのですが、そのほかはインターネットで探したりしました。それで、写真を見て赤い桶のお風呂のところがあって、おもしろいと思って行ってみたら期待以下で…さっさと逃げました(笑)。それがどこだったかは、よく覚えてないのですが、景色は良かったし、食べ物はすごくおいしかったんですけどね。ほんとに、今まで食べたものの中で一番おいしいと思ったんですけど…」



―ところで、パク・シフさんは20歳のころ、演技を始めるためにソウルに出られたのですよね。当時、家族の反対などはなかったですか。

 「大学2年まで行ったんですが、芸能活動をしてみたいと思って、ソウルに出ました。親も特に反対はしませんでした。もう大人ですから(笑)」

―30歳になって人気が上昇してきたわけですが、その間に進路について迷ったり悩んだことはなかったのですか。

 「演技一筋で考えてきました。軍隊に行かなければならないこともありましたし。(演技を)やめようと思ったこと、心の揺れはまったくありませんでしたね」

―自身で、セールスポイントだと思うところ、逆に弱いと思うところを教えてください。

 「セールスポイントは目の輝き(笑)? 内向的で人見知りなところが、自分にとって足りない点だと思います」



―目標とする俳優さんはいらっしゃいますか。

 「シン・グさんです。柔らかな中に、強いカリスマがある方です。そういう俳優になりたいです」

―作品を選ぶ際に、一番こだわるところはどこですか。

「キャラクターが自分にぐっと響いて、やろう!という気になるかどうか、です」

―次回作の予定を教えてください。

「これまでは、自身のイメージと合うドラマをやってきたのですが、次は、トレンディードラマをやりたいと思っています。若い人に支持されるドラマを(笑)。今、探しているところなので、まだ決まっているものはありません。でも、今年後半にはやりたいと思っています」

パク・シフは、自身も認めるようにシャイだが、しゃべりも物腰も優雅で、優しい人柄がにじみ出る。そして、意外に頑固な芯の強さも感じられる。これまで演じた役の中で、一番イ・ガンソクが気に入っているというが、「でも自分は、(ガンソクのように)人の意見によって自分の生き方や考え方を変えることはない」と明言した彼の素直にまっすぐ前を向く姿勢は心地よかった。早く、「やろう!」という気になる作品に出会い、新たな魅力を見せてほしい。



東京=野崎友子通信員

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