◆結局しわ寄せは観客に
ギャランティーが高いためチケット価格が高くなるのは当然だ。チケット価格が高いと売れないため、観客は少なくならざるを得ない。そのため企画制作会社は、大金をはたいてアーティストを招いたにもかかわらず、赤字を計上するという悪循環を繰り返している。投資費用のほとんどはアーティストのギャランティーに費やされるため、舞台設備などが粗末にならざるを得ない。
企画制作会社ハリケーンのイ・グァンホ社長は、「海外アーティストの中には、韓国の公演会場はお粗末だという理由で、来韓の際に大量の機材を持ち込むケースが多い。この運搬費用も企画制作会社が支払うケースが多い。結局、ギャランティーに公演費用のほとんどをつぎ込むという間違った慣行が会場設備の悪化を招き、ひいては追加費用の支出につながる」と指摘した。
また、1回公演の交渉しか行わない慣行も問題だ。1回の公演のために海外アーティストを無理やり招くため、ギャランティーが高くならざるを得ない。洋楽好きが多い日本の場合、通常1回の訪日で7、8回公演を行うことを条件に交渉する。
最近ジョージ・ウィンストンの来韓公演を進めたソウル芸術企画は、1996年からウィンストン側と毎年8-12回公演することを条件にコンサートを開催している。
同社は「何回か公演することを条件に契約すると、価格設定が容易になる。アーティストにとっては公演を首尾よく行うことができ、観客も公演を見る機会が多くなってよい。コンサートをただ1回のショーで済ますパフォーマンスとして捉えるのではなく、継続的な音楽ビジネスとして捉える姿勢で公演関係者が契約に臨まなければならない」と強調した。