夏にピッタリ、韓国風ざるそば

 メミルククス(韓国風ざるそば)。夏になると必ず食べたくなる料理の一つだ。ツルツルしためんを冷たい汁につけ、「ズルル」と豪快に食べると、そばの香りが口の中一杯に広がる。冷たいめんがのどを通り過ぎる瞬間、体の中まで涼しくなり、熱さも忘れてしまう。ソウルの名店に行き、その味を比べてみた。



◆チェナム

 シコシコした麺とたっぷりしたつけ汁が好きな韓国人にぴったりの「韓国風ざるそば」。この店のめんそば粉と小麦粉の比率が7対3。日本で一般的な8対2に比べると、そば粉の量は少ないが、韓国の店では多い方。そば粉が多く含まれているにもかかわらず、めんは柔らかくツルツル、シコシコしている。店の主人は「仕込みをしっかりすると、こういうめんになる」と話す。つけ汁は煮干しと昆布で出汁を取った汁にしょうゆと砂糖だけを少し加えたもの。澄んだつけ汁はさっぱりしていて甘い。つけ汁をそのまま飲めるほどだ。めんとの相性も抜群。80年以上前、ソウル市鍾路区通義洞に日本人と共同で店をオープンした。そして1990年、創業者の息子と嫁に当たる老夫婦が今の場所に店を移した。

 もりそば、冷しそば(めんをつけ汁の中に入れた状態で出てくる)、出来立てのめんを使ったチェナムうどん(各6000ウォン=約460円)、韓国風いなりずし3000ウォン(約230円)がおいしい。ソウル市江南区の教保タワー隣、GSカルテックス・ガソリンスタンド横の路地を入ったところ。

◆ヘギョ

 新しいスタイルの韓国風ざるそばに挑戦した店。めんには江原道春川のそば粉とジャガイモのでん粉を使っている。でん粉を使っているせいか、そば粉の量が多いにもかかわらず、めんにこしがある。血圧を安定させるルーチン成分を含むそばの新芽とノリの粉が上に乗っている。食べた瞬間、そばの香りが口の中一杯に広がる。食べ終わってからも口の中にそばの香りが残っているほどだ。お勧めはキョミョン(9000ウォン=約700円)。牛肉で出汁を取ったスープとトンチミ(水キムチ)の汁を混ぜたスープの中にそばを入れ、冷めんのようにして食べるチョンミョン(9000ウォン)は、スープの完成度がいま一つ。酸っぱくてどこか物足りないスープの味がそばに合っていない。江南保健所(ソウル市江南区三成洞)の隣。

◆大村庵

 日本伝統のざるそばの味を再現している。そば粉の量が多い固めのめんに、かつお節を使ったつけ汁で、本場・日本の味を出している。韓国でざるそばを食べるときのように、めんを完全につけ汁に浸してしまうと、しょっぱ過ぎて食べられない。めんの一部に汁をつけ、さっと食べるのがポイントだ。1950年に東京にオープンした居酒屋で、ソウルには2001年に支店を出した。

 もりそば7000ウォン(約540円)、天ぷらそば1万ウォン(約760円)、かけうどん(7000ウォン)、鍋焼きうどん(1万ウォン)、刺し身丼(1万ウォン)、かつ丼(8000ウォン=約600円)など、ほかのメニューも日本の味をそのまま再現している。モッカウエディング文化院(ソウル市江南区駅三洞)横の路地を入る。

◆ユリムめん

 めんをよく見ると、小さな茶色の斑点がある。これはそばの皮をむかずに使用しているため。ざらざらした感触が嫌いという人もいるが、そばの香りがとても強い。平壌の水冷めんと江原道のマッククス(そば粉を使った冷めんの一種)の差とでも言おうか。めんは固過ぎるのではないかと思われるほど弾力がある。つけ汁は味が濃く、甘じょっぱい。このつけ汁と固めのめんの相性は抜群だ。お互いの味を生かし合い、よりうま味を出している。ざるそば6000ウォン、混ぜそば7000ウォン。徳寿宮横の石畳の道から路地を入ったところ。

東京

 「ユリムめん」と同様、そばを丸ごと使っためんだが、つけ汁は違う。かつお節と煮干し、シイタケ、大根などで出汁を取ったスープが絶妙な味わいをかもし出している。そばの香りを消すことなく、互いに生かし合っている。そば7000ウォン、そば定食8500ウォン(約640円)、冷やし豆乳そば7000ウォン。狸鴎亭駅(ソウル市江南区新沙洞)近く。

◆ソンオク

 かつお節と煮干しを使ったつけ汁が一杯に入ったヤカンと大きな器に入った大根おろし、刻みネギが一緒に出てくる。見かけも味も典型的な韓国のざるそばだ。つけ汁は普通の店よりはしょっぱいが、全体的には甘め。太いめんはちょうど良い歯ごたえで、のどごしもいい。店の前にはいつも長い行列ができている。平日は午後2時過ぎに行かなければ座れないほど。ざるそば、混ぜそば各6000ウォン、天ぷらうどん5000ウォン(約380円)、鍋焼きうどん6000ウォン。うどんも美味しい。ソウル市中区南大門路4街(北倉洞の飲み屋街)。

◆味進

 ざるそばといえば思い浮かぶのがこの店。長い間、ソウル光化門の教保ビル裏手に店を構えていたが、この地域の再開発により、ルメイエール鍾路タウンビルに移転した。甘めのつけ汁に大根おろしとネギをたっぷり入れて食べる。つけ汁はそのまま飲めるほどおいしい。しかし、移転してから味が落ちたという意見が多い。店が混まない夕方に2回食べに行ってみたが、2回ともめんがふやけ、絡まっていた。ざるそば、混ぜそば、温そば各6000ウォン。キムチや豆腐などをそば粉入りの小麦粉の皮で包んだ「そばチョンピョン」(5000ウォン)がおいしい。

◆寿司蔵

 日本のざるそばに一番近い味を出しているウエスティン朝鮮ホテル(ソウル市中区小公洞)の日本料理店。週末には顧客の目の前でそばを打ち、すしを握る「ライブすし&そば」のイベントが行われる。そば粉と小麦粉を8対2の割合で混ぜためんを使ったざるそば、前菜、サラダ、すし、デザートのランチコースが6万ウォン(約4600円)と8万ウォン(約6000円)、ディナーコース10万ウォン(7600円)と12万ウォン(約9100円)=税別=。

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