20日午後6時、ソウル市西大門区新村洞のマッコリ専門店「トゥクタク」。お酒を飲むにはやや早い時間だったが、店内は大学生らしきカップルや若い女性たちで混み合っていた。友達同士で来たという大学院生のソン・ジナさん(31)は、「夕食のときにマッコリをよく飲む。美味しくてあまりお酒という感じがしない。少し前まではワインを飲む人が多かったけれど、最近はマッコリがブーム」と話した。
マッコリが新たなブームとなっている。ダイエットに効果があるとして、日本人観光客がスーパーなどでまとめ買いをしているというニュースが報じられたとき、多くの人たちは「外国人にはマッコリが珍しいのかもしれない」という程度の反応だった。しかし今やマッコリは、ビールやワインを脅かすほどの人気を集めている。
ソウル濁酒の今年のマッコリの売り上げは前年比25%増加した。多くの日本人観光客が訪れるロッテマート・ソウル駅店のマッコリの売り上げは前年比50%増加。ソウル濁酒製造協会のパク・サンテ部長は「昨年末からマッコリの売り上げが急増している」と話した。
その理由は、まず「マッコリの大変身」にある。最近のマッコリは以前のような口当たりの悪い「どぶろく」ではない。味や香りなどが大幅に改善された。色は澄んだミルク色で、栄養成分も強化。マッコリ・カクテルも数十種類開発されている。
もう一つの大きな理由は「健康」。アルコール度数が6-8度程度でビールと変わらない上に、繊維質が豊富に含まれている。また、健康によい乳酸菌の宝庫でもある。実際、マッコリ専門店などで人気があるイチゴ・マッコリの場合、味や香り、色がヨーグルトに似ている。違うところといえば、アルコール臭が少しあることくらい。
マッコリもアルコールの一種だが、果たして健康にいいといえるのか。専門家たちは「飲みすぎなければ、ほかの酒よりも健康にいい」と話す。
盆唐ソウル大学病院消化器内科のイ・ドンホ教授は「マッコリを飲むことは、アルコール成分を除けば栄養剤を飲んでいるようなもの」と語った。イ教授は「マッコリの成分を見ると、水が80%。残りの20%中にはアルコール6-7%、たんぱく質2%、炭水化物0.8%、脂肪0.1%などが含まれる。残りの10%は植物繊維、ビタミンBとC、乳酸菌、酵母などが混ざった物質だが、これが栄養の宝庫」と話す。ワインがアルコール・水(95-99%)を除けば約1-5%だけが体にいい無機質であるのに比べ、マッコリの方が栄養分がはるかに多いことになる。
◆乳酸菌のかたまり
マッコリ1ミリリットルに含まれる乳酸菌は1億個。一般のマッコリのペットボトルが700-800ミリリットルであることを考えると、1本に700億から800億個の乳酸菌が含まれていることになる。65ミリリットルの乳酸飲料を100本から120本程度飲んだ量だ。乳酸菌が腸で炎症やがんを引き起こす有害細菌を破壊し、免疫力を強化するという。
◆男性に必要なビタミンBも豊富
マッコリにはビタミンBが豊富に含まれる。高麗大学付属の韓国栄養問題研究所のチュ・ジンスン博士(元高麗大学医学部教授)の論文「マッコリの摂取が人体に及ぼす栄養」によると、マッコリ200ミリリットルにはビタミンB2(リボフラビン)が約68マイクログラム、ビタミンB群複合体が約44マイクログラム、ナイアシン(ビタミンB3)が50マイクログラム含まれている。
ビタミンB群は特に中年男性に必要な栄養素で、疲労回復や肌の再生、視力改善に効果がある。
◆本当にダイエットの効果あり
マッコリは植物繊維のかたまりといっても過言ではない。マッコリ成分の中で水(80%)の次に多く含まれるのが植物繊維(10%前後)だ。
ペ・サンミョン酒家研究所のチョン・チャンミン博士は、「マッコリ1杯には同量の植物繊維飲料に比べ、100-1000倍以上の植物繊維が含まれている」と話す。植物繊維は大腸の働きを活発にし、便秘を予防するのはもちろん、心臓血管の疾患を予防する効果もある。マッコリ・ダイエットで3カ月間に体重を105キロから75キロまで減らしたというナム・ジュンさん(35)は、「朝晩、ご飯の代わりにマッコリを2杯ずつ飲んだ。満腹感を感じながらも低カロリーのため、ダイエットに役立った」と話した。