「BoAの兄」ではなくクォン・スンフォンとして舞台に


 人気歌手の兄として生きることは楽なことではない。自分が結婚しても、インターネット上では「歌手BoA、小姑になる」という記事でニュースになり、腕をけがした妹を心配しても、「歌手BoA、けがを押して舞台に」と報道される。ピアニストのクォン・スンフォンさん(28)は、ピアニストとしてよりも歌手BoA(本名クォン・ボア)=22=の実兄として有名だ。そんなクォンさんが初の音楽会「クォン・スンフォンのイージー・クラシック」を今年夏に開催する。2002年に妹のファンミーティングにゲストとして出演したことはあるが、自分の名前を掲げた正式な舞台はこれが初めてだ。

 「あいさつをきちんとしなかったり、少し声を荒げて口げんかをしただけでも、礼儀知らずと言われてしまいます。僕だけ悪く言われるのならともかく、妹まで誤解されたり、家族全体の悪口にまで飛び火するとつらいです」

 2男1女の長男として生まれたクォン・スンフォンさんは、ソウル大学音楽学部でピアノを専攻し、大学院まで卒業した。昨年「ネオ・ムジカ」というデジタル音楽会社を設立し、アルバムのプロデューサー兼演奏者として活動している。

 クォン・スンフォンさんの演奏はオンラインでしか流通していないため、一般の売り場ではクォンさんの名前を見つけるのは難しい。しかしインターネット音楽サイトでは、クォンさんが演奏したベートーベンやショパンの曲がクラシックチャートの上位にランクインしており、「オンラインスター」でもある。

 弟のクォン・スンウクさん(27)はB‐boy(ブレイクダンサー)チーム出身で、現在はミュージックビデオの監督として活動している。クォン・スンフォンさんは「子どものころ、僕がピアノを弾き、弟は床に頭をつけてグルグル回りながら踊り、妹は歌とダンスの練習をしているというのが、僕の家の日常風景だった」と笑った。

 クォン・スンフォンさんは大学院を卒業した後、運転兵として兵役を終え、英国王立音楽院への進学を準備していた。しかし合格の知らせを受け取ったものの、結局クォンさんは留学ではなく、事業を選んだ。「運転を始めた時も、最初から海外の名車を運転するのではなく、小型車で少しずつならし始めた。同じようにクラシック音楽も、聞いたことのないような難しい曲ではなく、誰でも気軽に楽しめるような曲への道案内がしたいと思った」と話す。
 クォン・スンフォンさんが編曲や解説、演奏まで手掛けた「イージー・クラシック」でも、ストラビンスキーの『ペトルーシュカ』に合わせてダンスチームが踊ったり、事前にオーケストラの演奏をコンピューターに録音して流すなど、これまでクラシック音楽の世界ではなかなか見られなかったことに挑戦している。

 クォンさんは「映画『ラストエンペラー』の音楽を手掛けた作曲家であり、映画俳優などとしても活動している坂本龍一さんが理想だ」と語った。

◆「クォン・スンフォンのイージー・クラシック」:8月11・12日、忠武アートホール(ソウル市中区新堂洞)にて開催。

キム・ソンヒョン記者
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